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アジア型マイマイガの俗名が変更されました (2023年5月16日付更新)/ Asian Gypsy Moth has been given a new name (JP)
こちらは、英文記事「The Asian Gypsy Moth has been given a new name」(2023年3月31日付記事の同年5月16日更新版)の和訳です。
これまで「Asian Gypsy Moth (AGM)」と呼ばれていた蛾の種群に新しい俗名「Flighted Spongy Moth Complex(FSMC)」が使用されることになりました。ただし、5月から10月にかけてアジア太平洋地域の港を出港する際の出港前検査や証明書に関する各国の要求事項は、これまでとほぼ同じです。
2022年3月、米国昆虫学会(ESA)は「Lymantria dispar」の俗名を、不快な印象を与えかねないとされていた「gypsy moth」から「spongy moth」に変更すると発表しました。これにより、これまでAsian Gypsy Moth(AGM)と呼ばれていた蛾の種群に「Flighted Spongy Moth Complex(FSMC)」という新しい俗名が使用されることになります。詳細は、カナダ政府が発行するFebruary 2023 joint bulletinをご参照ください。
各国がウェブサイト、政策、フォーム、証明書、教材などをすべて更新して新しい俗名を反映するには、しばらく時間がかかる場合があります。したがって、名称変更の移行期間中、検査証明書は、認められた認証機関によって発行されたものであればどちらの名称を使用していても引き続き有効とみなされます。なお、現在Gardでは、すべてのロスプリベンション資料や啓発資料において、一貫性を保つために「FSMC」と表記するようにしています。
2023年のFSMCシーズンに向けて
米国とカナダの当局によると、近年、アジア太平洋の規制対象地域の港湾の多くでFSMCが大量発生し、北米に入港した非常に多くの船舶でFSMCの卵塊が発見されました。2023年はこうしたことがないよう、船長に対して、規制実施国には本船上にFSMCが不在の状態で到着することが重要であり、必要なFSMC関係書類を港湾職員に提出しなければならないことを念押しするようにしてください。また、航行中に本船で体系的な自主検査を実施するための適切な手順を備えておくことも、遅延や次の寄港地までのルート変更を余儀なくされるような状況を回避するのに役立ちます。
FSMC規制に関し、2023年FSMCシーズンに向けて以下の点に留意してください。
- カナダと米国は、2023年2月に、今年のJoint FSMC Industry Noticeを発行しました。2022年から、米国とカナダはFSMC規制対象地域に関する方針を変更しており、これに伴い、日本とロシアの特定の港に寄港した船舶に対して特定リスク期間(SRP)、すなわちFSMC不在証明書を要求する期間が延長されています。
- チリは、2022年5月にFSMC規制対象地域に関する方針を改訂しました。新しい決議No.8394/2021では、特定リスク期間を米国およびカナダの期間と一致させています。またこの決議では、規制区域の定義を、米国とカナダの定義と同様にし、要求により「北緯20度から60度の間に位置するすべての港」の文言を削除しています。
- アルゼンチンのFSMC規制は2021年4月に発効されましたが、2023年の飛来シーズンを前にFSMC規制区域に関する方針が改訂され、米国、カナダ、チリの方針をほぼ反映しています。しかし、アルゼンチンは依然としてアジア太平洋地域の規制対象港を「北緯20度から60度の間に位置するすべての港」と定義し、3カ国とは異なり、秋田と山形を日本の西部特定リスク期間として引き続き定義しています。
- オーストラリアの2022年12月の発表によると、オーストラリアはFSMCに関するリスク管理のために毎年実施している船舶監視強化期間を2023年1月1日から開始するということです。2021年および2022年の7月1日から9月30日までの間に、北緯40度から60
度、東経147度以西にある東ロシアの港に寄港した船舶は、引き続きオーストラリア当局によるリスク管理対象となります。
- ニュージーランドは、FSMC規制対象地域に関する方針を米国とカナダの要求と同様にするために2023年の飛来シーズンの前に変更する旨2023年3月に公表しました。従って、変更された要求はいくつかのリスク期間の延長といくつかのリスク地域の併合を含みます。しかしながら、米国やカナダとは違って、過去12カ月の間にいずれかの規制対象地域にリスク期間中に寄港した船舶に限り、有効な出港前のFSMC不在証明書の提示を要求しています。この記事の執筆時点では、船舶に対するニュージーランドのCraft Risk Management Standard(CRMS)は、改訂されたFSMC方針が反映されていませんが、国内の港に寄港する船舶は改訂版の方針に従い実施される検査に備えてください。
Gardのウェブサイト内の「Frequently asked questions - managing Flighted Spongy Moth Complex risks(アジア型マイマイガのリスク管理に関してよくある質問)」のページに、規制実施国が定める要求事項の概要、関係政府機関のウェブサイトへのリンク、船内で体系的な自主検査を実施する際のアドバイスやガイドラインなどを掲載していますので参考にしてください。