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ALERT

エジプト当局、輸入禁止品目を持ち込んだ船員を拘束 / Seafarers detained in Egypt for carrying prohibited items (JP)

こちらは、英文記事「Seafarers detained in Egypt for carrying prohibited items.」(2022年12月14日付)の和訳です。

 エジプトの現地コレスポンデントによると、船員が同国で乗船・下船する際、ドローンや「不審な」電子機器など輸入禁止品目に指定されている物品を持ち込んだとして拘束される事件が増えているとのことです。

 ある船員は、スエズ港で乗船するため海外から入国した際、ドローンを違法に持ち込んだとして現地コーストガードに拘束されました。しかし、本人には犯罪を起こすつもりなど全くありませんでした。乗船中、仕事での船体チェックや趣味の写真撮影に使用するつもりだったのです。エジプトでの滞在中に使ったわけでも使おうと思っていたわけでもなく、乗船地がたまたまエジプトだったというだけでした。それでも、現地当局から必要な許可をもらっていなかったために、ドローンを所有していたという事実だけでエジプトの法律に違反したとみなされてしまったのです。 

エジプトにおけるドローン規制 

エジプトはドローンに関して非常に厳しい法律を設けており、ドローンの製造、売買、使用を規制するだけでなく、防衛省の許可なくドローンを輸入、所有した場合も違法としています(2017年法律216号)。そして、違反した場合は、最長7年の禁固刑と高額の罰金が科されるおそれがあります。こうした厳しい対応を受ける可能性があったことと比べると、上述の船員は、裁判手続きを経て罰金300米ドルを科されるという軽い処分で済みました。しかし、ドローンを没収されてしまい、乗船にも間に合わず、当局の対応は丁重だったとはいえ、国家安全保障局から徹底的に調べられるというかなりつらい状況に置かれました。こうしたことを考えると、このような経験は絶対にしないに越したことはないでしょう。 

規制を知らなかったでは済まない 本情報は一般的な情報提供のみを目的としています。発行時において提供する情報の正確性および品質の保証には細心の注意を払っていますが、Gard は本情報に依拠 することによって生じるいかなる種類の損失または損害に対して一切の責任を負いません。 本情報は日本のメンバー、クライアントおよびその他の利害関係者に対するサービスの一環として、ガードジャパン株式会社により英文から和文に翻訳されておりま す。翻訳の正確性については十分な注意をしておりますが、翻訳された和文は参考上のものであり、すべての点において原文である英文の完全な翻訳であることを証す るものではありません。したがって、ガードジャパン株式会社は、原文との内容の不一致については、一切責任を負いません。翻訳文についてご不明な点などありまし たらガードジャパン株式会社までご連絡ください。 © 2022 Gard AS 2 

GARD ALERT 14 DECEMBER 2022 

 

船員が乗船する際、または下船して帰国する際に適用される現地の規制については、多くの船舶代理店が運航会社に盛んに注意喚起をしています。とはいえ、乗船地・下船地で何が禁止品目となっているかは、最終的に渡航者本人が各自で渡航情報を調べて確認しなければなりません。 

世界ではほぼどの国でも、海外からの輸入品に関する規制をそれぞれ設けています。麻薬や武器、弾薬、爆発物、危険物などはおおむね共通していますが、国によっては、ほかにはないような禁止品目を設けているところもあります。たとえば、ニュージーランドは、望ましくない害虫や病気を持ち込むおそれのある用品や食品について厳しい規制を設けていることで知られており、使用済みのトレッキングシューズも危険品として申告するよう求めています。ノルウェーでは、じゃがいもを持ち込む場合は量にかかわらず特別な許可が必要です。そしてエジプトでは、既に身をもって痛感した人も多くいるように、ドローンに関する特別法が施行されており、当局の許可なくドローンを輸入、所有または使用することは違法とされています。これについては、20166月発行のAlert記事「船舶でのドローンの利用について」もご参照ください。 

現地では、ドローン以外にも、無線送信機のようなものを内蔵していると思われる場合など、見慣れない電子機器や、どういった類のものかよく分からない電子機器についても当局から疑われるとして、現地コレスポンデントが警告しています。疑惑の対象となった機器が仮に法律で禁止されていないものだとしても、警察がそれを確認するまでにはかなり時間がかかるでしょう(おそらく数時間)。そうなれば、解放されるまで不安な時間を過ごすことになるだけでなく、予定していた船や飛行機にも間に合わなくなるかもしれません。また、スエズ運河は国の安全保障上重要な役割を果たしているため、運河地区に入る際のチェックは空港でのセキュリティチェックより厳しい可能性がありますので、ご注意ください。 

Alertは、エジプトの現地コレスポンデントであるEl Hamamsy Marine Services Ltd.からの情報に基づいて作成したものです。

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