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廃棄物処理および固体ばら積み貨物からの残渣の取り扱い (2023年2月14日更新)/ Garbage disposal and handling of residues from solid bulk cargoes (Japanese)
MARPOL条約附属書Vの最新改正は2018年3月1日に発効し、船舶には、船上の廃棄物の取扱い、管理、記録に関連する変更を実施することが求められます。
現行のMARPOL条約附属書Vは、2013年1月1日に発効したもので、すべての廃棄物の海洋への排出を一般的に禁じています。この規則は、船舶のみならず、固定式と浮体式の海洋構造物にも適用され、廃棄規定の概要がIMOのウェブサイトに掲載されています。固体ばら積み貨物からの残渣の排出も、海洋環境にとって有害(HME)であるとして、2013年に新たに禁止されました。しかしながら、そのような排出が2013年以降禁止されている一方で、MARPOL条約附属書Vには、貨物がHMEであるか否かに分類する強制的な基準が定められていません。
MARPOL条約附属書Vに対する追加の改正が、2016年10月の第70回海洋環境保護委員会(MEPC 70)において採択され、2018年3月1日に発効します。改正点は、IMO決議MEPC.277(70)に盛り込まれており、重要な変更点は以下のとおりです。
- 固体ばら積み貨物をHMEに分類する具体的な基準のほか、固体ばら積み貨物(穀物を除く)の荷送人が、その基準に従って貨物がHMEに分類されるか否かを宣言する義務が盛り込まれました。
- 廃物記録簿の様式が改訂され、第I部と第II部に分割されました。第I部は、あらゆる種類の船舶からの廃棄物の排出を記録するために使用され、また、新たな廃棄物の分類として「廃電気電子機器(e-waste)」が含まれています。第II部は、固体ばら積み貨物を運搬している船舶からの貨物残渣(HMEおよびそれ以外の貨物残渣の両方が対象)の排出を記録するために使用されます。
- 最新の廃物記録簿とともに、受入施設から得た受領書も、2年間、船上に保管しなければなりません。
「MARPOL条約附属書Vの実施のためのIMOのガイドライン」も更新され、現在はMARPOL条約の改正および極海コードの関連要件との整合性が取れております。最新のガイドラインはIMOのウェブサイトよりダウンロードできます:Prevention of Pollution by Garbage from Ships。
推奨事項
メンバーの皆様は、改正MARPOL条約附属書Vを確実に遵守するため、2018年3月1日からは、船舶に必要な様式の廃物記録簿を確実に備え付けるようにしてください。船舶の廃物管理計画および船上に掲示された標識を見直し、有効な廃棄物排出要件を表示するよう、必要に応じて手直しをしてください。
残念ながら、MARPOL条約附属書Vに基づく海洋環境に有害(HME)な物質のリストは存在しません。したがって、荷送人の貨物情報に問題の貨物が海洋環境に有害なもの(HME)であるか否かが記載されていることを固体ばら積み貨物を運搬する貨物の船員が引き続き確認することがより一層重要になります。そうした宣言には、IMSBCコードのセクション4.2において要求されている情報を含めなければなりません。一定の種類の廃棄物を受入れ処理することができない港があることを前提に、船舶から発生する残渣/廃棄物の最小化と、物流上と取引上の段取りへの配慮のいずれについても、先進的な計画が重要です。ご存じのように、MARPOL条約附属書Vの改正が2013年1月1日に発効したのに対応して、BIMCOが、新しい「航海用船契約のHME貨物残渣廃棄条項」を公表しました。
また、MARPOL条約議定書Vの遵守には、船員が現行の廃棄物排出要件に精通しており、排出が認められる条件を明確に理解していることが欠かせません。「Consolidated Guidance for Port Reception Facility providers and users(港湾受入施設提供者と利用者向け総合ガイダンス)」(MEPC.1/Circ.834)は、MARPOL条約の残渣/廃棄物を海上で引き渡しする際の船員のための実務ユーザー向けガイドであり、ベストプラクティス構築の基礎となるものです。また、船長に対して、本サーキュラーの別紙1に定める手続きに従って港湾の受入施設の不備を報告するよう働きかけてください(こうすることで、受入施設の整備が世界全体で進むことが期待できます)。最新のガイダンス文書はIMOのウェブサイトよりダウンロードできます。:Reception Facilities