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航海船橋における視界確保の重要性 / The importance of ensuring navigation bridge visibility (Japanese)

これまでに、風力タービンの羽根やタワーなどの特殊貨物を輸送する際に、航海船橋の視界確保について定めたSOLAS条約第V章第22規則の一部を適用除外してもらったことがあるかもしれません。しかし、このような適用除外を文書で認められていたとしても、オーストラリアでは法令順守の証拠として通用しないおそれがあるのでご注意ください。

こちらは、英文記事「The importance of ensuring navigation bridge visibility」(2022年11月24日付)の和訳です。

オーストラリア海事安全局(AMSA)はこのたび海事通知(14-2022)を発行し、同国海域を航行するすべての船舶に対して、航海船橋における視界確保の重要性を強調するとともに、船舶運航者、船長、航海士に以下の要件を順守するよう改めて呼びかけています。

 

  • 周囲の状況および他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚およびその時の状況に適したあらゆる手段により、常時適切な見張りをしなければならない(COLREG条約第5条)。
  • 以下のSOLAS条約第V章第22規則の要件を中心に、航海船橋において視界が適切に確保されていることを確認する。
    • 操舵室の外にある貨物、荷役クレーンまたはその他の障害物により、操舵を指揮する場所から海面が見えなくなる正横前の死角範囲は10度を超えてはならない。

 

    • 喫水、トリム、甲板上の貨物の状態にかかわらず、操舵を指揮する場所からの海面の視界は、船首方向から両舷方向に各10度の範囲で船舶の長さの2倍または500mのいずれか短い方より遠くが不明瞭であってはならない。

 

旗国によっては、航海船橋前面の窓と同等の高さまで貨物を積載することを認める「特例文書」を発行しているところもあります。しかしオーストラリアは、「SOLAS条約はこのような特例を認めていないため、同国においてこうした特例文書は法令順守の証拠として認められない」という見解です。AMSAは、風力タービンの羽根やタワーなどの特殊貨物を輸送している非専用船において、船橋の視界悪化によって安全航海への明白な危険が生じていると判断した場合、船舶の拘留を検討し、荷揚げを要求する可能性があります。

 

船主、運航者、船長の皆様におかれましては、上記の点に注意し、甲板上に貨物を積む場合は適切に積み付けるようにしてください。SOLAS条約で定められている船橋の視界確保に関する最低限の要件について、仮に旗国が適用除外を認めてくれているとしても、オーストラリア海域に入る前に、貨物の積付状態について同国の承認を得ておくべきでしょう。

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