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シンガポール供給の燃料油から塩素化炭化水素を検出 / Singapore bunkers - presence of chlorinated hydrocarbons (Japanese HTML)

今年13月、シンガポールで供給された粗悪油(大半がHSFO)が原因と思われる運航上の問題が発生したという報告が寄せられています。

こちらは、英文記事「Singapore bunkers - presence of chlorinated hydrocarbons」(2022年3月30日付)の和訳です。

Veritas Petroleum Services(VPS)社のアラートNo. 05/2022(2022年3月11日付)によると、シンガポールで供給されたHSFOのサンプルの中に高濃度の塩素化炭化水素が認められたとのことです。この期間中に補油を行ったサプライヤーは複数おり、ISO 8217表2の要件は満たしていました。ところが、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)による高度な試験を行ったところ、異物が検出され、塩素化炭化水素と有機塩素化合物が含まれていることが分かったのです。VPS社のアラートはこちらからご覧いただけます。

 

このアラートでは、燃料油にこうした異物が混入していると、燃料ポンプの摩耗や燃料バルブの不具合が起きて主機や補機が起動しなくなるとして、注意を呼びかけています。Gardの加入船でも、ブラックアウトや推進力の喪失、排気温度偏差の上昇、燃料システム内のスラッジ過多など、粗悪油が関係すると思われる運航上の問題が発生しています。なかには、港まで曳航が必要になったケースもありました。こうした異物混入によって機関が長期的にどのような影響を受けるのかはまだ分かっていません。

 

VPS社のアラートを受けて、Gardは他の船社にも問い合わせて、同様の事態が生じていないか確認しています。本稿の執筆段階ではまだ回答がありませんが、この問題についてVPS社の報告を裏付けるアラートが多くの試験ラボから出されていることは把握しています。ただし、こうした報告が、シンガポールで供給される燃料油の品質全体を反映したものではないことは申し添えておきたいと思います。

 

これまでにも主機が故障する深刻な事例をいくつか見てきたことから、ここで、VPS社のアラートに記載されている推奨事項の一部と、以前発表したInsight記事「汚染バンカー問題は今なお拡大中」で触れた追加検査に関するアドバイスを改めてご紹介します。この記事は、2018~2019年にヒューストンを皮切りに多発した粗悪油問題に伴い発表したものです。

 

重要な推奨事項

  1. シンガポールで最近HSFOを補油した船舶は、燃料油の中に塩素化炭化水素が含まれている可能性があること、そして、それが運航に影響を及ぼす可能性があることを認識しておく必要があります。船主、運航者、傭船者は、燃料を使用する前に、塩素化炭化水素の有無を調べる試験を実施済みであるという確約をサプライヤーから取り付け、試験証明書の提出を求めてもよいでしょう。今回問題となっているのはHFSOだけのようです。つまり、MARPOL条約の硫黄分上限規制を順守するためにスクラバーを搭載した船舶用の燃料だけですので、本アラートは留出燃料は対象外となります。
  2. 船主・管理会社は、機関入口での燃料油の品質を測るため、燃料処理システムの前後で採取したサンプルの試験手配を検討しましょう。この試験で浄化装置が正常に機能しているかが分かります。機関の劣化が進んでいても早期に知ることができるので、燃料油の品質問題の解決に役立ちます。
  3. 本船で運航上の問題が発生している場合などは、マニホールドで採取するサンプルの試験要件について、船主・管理会社はISO 8217表2の要件よりもさらに踏み込んだ調査分析の依頼を検討してもよいでしょう。GC-MSなどの高度な試験なら、主機や補機の損傷を引き起こすおそれのある異物を検出できる可能性があります。
  4. 船主・管理会社は、補油した燃料に問題があった場合、サプライヤーへのクレーム期限や通知方法は供給契約によって異なることを知っておきましょう。買主として供給契約の条件をよく確認し、燃料が関係すると思われる運航上の問題が発生した場合は、直ちに通知する必要があります。
  5. 補油前にサプライヤーと積極的に意見交換し、HSFOに塩素化炭化水素が含まれている可能性を懸念していると伝えることも、問題回避につながるでしょう。
  6. また、補油時に採取したサンプルは重要な証拠となります。傭船契約で定められたスペックへの適合をめぐる船主と傭船者の争いや、供給契約で定められたスペックへの適合をめぐる売主と買主の争いの解決に役立つでしょう。詳しくは、燃料油のサンプル採取に関するGardのAlertポスターをご参照ください。

 

本アラートは、Veritas Petroleum Services社からの情報に基づいて作成したものです。

 

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