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INSIGHT

COVID-19に伴う船員関連費用のP&Iカバー / P&I cover for crew related Covid-19 claims (Japanese HTML)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るう中、メンバーの皆様は多くの困難に直面しており、Gardにもこれまでとは少し違ったより複雑な内容の保険請求が寄せられるようになっています。オペレーション費用に該当するのか、それとも保険でてん補される費用なのかを見極めることは決して簡単ではありません。そこで今回は、てん補に必要な条件と、請求書類の準備をスムーズに進めるための方法をまとめました。

こちらは、英文記事「P&I cover for crew related Covid-19 claims」(2021年12月14日付)の和訳です。

請求の準備を少ししておくだけで手続きにかける時間を減らすことができます。これは、契約者にとってもGard のクレーム担当者にとっても喜ばしいことです。今回は、船員に関する保険請求のみを扱い、乗客などそれ以外の立場で乗船した者に関する保険請求については説明しません。

 

てん補条件

 

船主責任相互保険(P&I保険)は指定(列挙)された危険責任をてん補する保険で、組合に加入した船舶に対するてん補条件はクラブルールに記載されています。内容はほぼ同様であるものの、移動式オフショアユニット(MOU)向けのルールは別途規定されています。まず、P&I保険を適用するにあたっては、クラブルールに該当するような、保険対象となる出来事であって、組合員が契約上・法律上の責任を負っていることが前提となります。クラブルールでは、COVID-19に伴う船員関連費用について、てん補対象となる主な基準が3つ定められています。その基準とは、「船員の感染」、「検疫・消毒」、そして「感染した船員や死亡した船員の上陸を目的とする離路」です。各基準におけるてん補対象範囲の概要を以下にまとめました。また、手続きの際に必要となるため準備しておいた方がよい情報・書類についても一覧にしてありますので、併せてご覧ください。

 

管轄区域によっては、クレームの裏付けとなる証拠書類を入手することが非常に困難な場合があるかと存じますが、クレームをてん補させていただくために、十分な証拠書類をご用意いただきますようお願いいたします。

 

船員のCOVID-19感染に関する費用

 

船員の傷病に関する責任は、クラブルール(船舶)第27条クラブルール(MOU)第19条に基づいててん補されます。てん補対象となるのは、船員がCOVID-19に感染したことで、治療のための緊急退避や入院、治療、療養、送還が必要になった場合の費用で、雇用契約や準拠法の条件に該当していることが前提となります。

 

また、乗船期間中の上陸時、乗船地へ向かう道中、下船後の帰宅途中に感染した場合にも、責任が発生することが考えられます。こういった期間も雇用契約に含まれているのであれば、てん補対象となります。

 

雇用契約に含まれる期間中に、船員に感染症状が現れた場合は、上記の第27条や第19条で定められたその他の病気の治療費や関連費用に対する責任と同様、COVID-19の検査費用も妥当な金額である限りてん補されます。ただし、感染した兆候や症状が一切見られないにもかかわらず、船員交代時の規則や現地の規則・方針などに基づき、予防措置の一環として検査を行った場合には、検査費用はオペレーション費用とみなされ、てん補の対象にはなりません。

 

通常の船員交代や契約満了による船員の下船・送還費用についてもオペレーション費用に該当するため、P&I保険ではてん補されません。

 

クラブルール(船舶)第27条、クラブルール(MOU)第19条に該当しうる主な費用(ただし、組合員が責任を負う場合に限る)は次のとおりです。

 

  • 罹患した船員の治療費用
  • COVID-19の症状が見られる場合の検査費用
  • 罹患した船員の下船・退避・送還費用
  • 契約で定められた傷病手当
  • 後遺障害・死亡手当

 

COVID-19感染に伴う保険請求に必要な書類の準備

 

発生した費用の概要や詳細を提出する際は、Excelシートなどを使うと便利です。他の必要な証憑と一緒にクレーム担当者に送ることができます。

 

P&I保険によるてん補は、船舶ごと、保険対象となる出来事ごとに適用され、ある船で一度の集団感染で複数の船員が感染した場合、それはひとつの出来事とみなされます。ただ、その後も同じ船で集団感染が起きる可能性もあります。請求対象の出来事が何か月にも及び、集団感染が起きた日付の詳しい情報がない場合、その費用の振り分け方はクレーム担当者にとって特に頭を悩ませる問題になります。そのため、一隻で集団感染が複数回起きた場合には、その発生ごとに費用や書類をしっかりと分けておくことが大切です。こうしておけば、こちらで案件登録や費用の割り当てを正しく行うことができます。船員交代や船内消毒が済んだ後に感染が起きた場合など、ある集団感染と別の集団感染の境目がはっきり分からないケースも出てくると思いますが、こういった場合は通常、新たな集団感染としてみなされます。また、船員関連費用については、船員ごとに分ける必要があります。

 


保険請求の査定にあたり提出が必要な情報・書類

  • 本船名
  • 事象発生時の本船の港/場所
  • 事象発生日(検査日)
  • 一隻で集団感染が複数回起きた場合には、消毒や船員交代の実施日などを分かりやすく時系列に記した表
  • 感染の兆候が見られる、または罹患した船員やその他の者の氏名
  • (感染の兆候が見られる、または罹患した船員の)雇用契約書
  • 団体労働協約書(CBA)(存在する場合)
  • 検査結果が陽性であることを記した診断書
  • 診療費のインボイス
  • 下船/退避・送還・傷病手当に関するインボイス・支払領収書
  • 受取人の銀行口座明細

 

 

消毒・検疫に関する費用

クラブルール(船舶)第48条クラブルール(MOU)第33A条では、通常の運航費用を除き、船内で伝染病が発生したことによる、船舶または船員の隔離命令や消毒に関する費用をてん補すると定めています。隔離命令とは、船舶がその時点で滞在している国の現地当局や国家当局から発出され、船舶や船員の移動を制限するよう命じるものです。

 

一部の地域では、予防措置として乗船前に船員の自主隔離を求めているところもあります。その場合の余分に発生した費用はオペレーション費用とみなされます。ただし、船内でウイルスが確認されたため、下船後に船員に隔離命令が出された場合、その隔離期間中に発生した費用についてはてん補されます。

 

てん補の対象となるのは、船内で伝染病が発生したことを受けて船舶に隔離命令が出され、それに従う際に発生した直接関連費用です。ただし、支払われるのは実費のみです。つまり、船舶の通常運航費を超過し、船内でCOVID-19の感染が起こっていなければ生じなかったはずの費用だけが対象となります。例えば、船舶を検疫区域に移動する際にかかる費用、必要な検査や専門家の分析にかかる費用、ウイルス除去対策を行った場合の費用などはてん補されます。

 

船内でCOVID-19が確認され、船内と船員の消毒が必要になった場合、消毒にかかる費用は妥当な金額である限りてん補されます。良くある例としては、専門業者による消毒費用が挙げられます。

 

クラブルール(船舶)第48条、クラブルール(MOU)第33A条に該当しうる主な費用(ただし、責任が発生している場合に限る)

  • 船舶の通常維持費を超過し、隔離命令に従う際に発生した直接関連費用
  • 船舶の消毒にかかる妥当な範囲の費用

 

検疫・消毒費用に関する書類の準備


請求の際に必要な情報・書類には以下のようなものがあります。

  • 本船名
  • 事象発生時の本船の港/場所
  • 事象発生日
  • 一隻で集団感染が複数回起こった場合には、消毒や船員交代の実施日などを分かりやすく時系列に記した表
  • 隔離命令書の写し
  • メンバーと消毒作業業者との間の契約書(船内で実際に集団感染が起きた場合)
  • 消毒に関するインボイス
  • 検疫に関するインボイス(船内で集団感染が起きたことを受けて、本船に正式な隔離命令が出された場合)
  • 船員の隔離費用に関するインボイス(船内で集団感染が起きたことを受けて、船員に正式な隔離命令が出された場合)
  • 受取人の銀行口座明細

 

 

離路費用

クラブルール(船舶)第31条クラブルール(MOU)第21条では、感染した乗船中の船員に治療を受けさせるために離路が必要になった場合、その離路によって余分に発生した燃料費、保険料、船

 

員費、備品費、食料費、港費をてん補すると定めています。ただし、あくまで治療目的のために発生した離路であることが条件です。

 

COVID-19への感染が疑われるものの症状が見られない乗船中の船員に治療を受けさせるため、離路が必要になった場合、上記の条項で定められた余分に発生した燃料費などがてん補されるかは、各ケースの具体的な事実関係や状況を踏まえて判断されます。ただし、あくまで治療目的のために発生した費用であることが条件です。

 

さらに、クラブルールでは、船上で死亡した船員を送還目的で陸上へ移送するために離路が必要になった場合についてもてん補されます。パンデミックの影響により、一部の港では、死亡した船員の遺体を本国に送還する目的で陸上に移送することが許可されていません。現在、多数の港がより厳格な方針をとっているため、船主にとっては、死亡した船員を通常よりはるかに長期間船内に留めなければならないという不運かつ困難な状況となっており、離路を余儀なくされるケースが時折発生しています。このような場合のてん補についても、感染した船員の治療に伴う離路の場合と同様の判断が行われます。今回のルールの拡大については、2021年2月20日から遡及的に適用されます。

 

離路費用に関する書類の準備

  • インボイス
  • 入力済みの離路計算フォーム(Word版PDF版のテンプレートを参照)

 

 

請求手続きのため一丸となりましょう

今回のご案内を皆様の請求手続きの準備にお役立ていただければ幸いです。これは私どもの迅速な手続きにも繋がります。ご不明な点がありましたら、Gardのクレーム担当者にいつでもお問い合わせください。

 

Gardのウェブサイト(www.gard.no)には、COVID-19とGardカバーに関するよくある質問を掲載していますので、こちらもご覧ください。

 

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