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火災発生時の対応の遅れは消防班の命を危険に晒す可能性があります / A delayed response to a fire can be fatal for the fire team (Japanese HMTL)
火災を未然に防ぐことがまず第一に重要であることは言うまでもありませんが、不幸にも火災が発生した場合、火災が「局所」的な状態の間に消火すること、すなわち、他の区画や機械、設備に広がる前に消火することが重要です。同時に、消防員が過度の危険に晒されることがないよう考慮することも極めて重要となります。そのためには、素早く対応することが欠かせません。
こちらは、英文記事「A delayed response to a fire can be fatal for the fire team」(2021年5月20日付)の和訳です。
対応遅れによる影響
火災発生時に対応が遅れる原因は、消防設備の準備不足、中央集権型の指揮系統、乗組員の訓練や習熟度のバラツキなどがあります。その影響として以下の3つが考えられます。
- 火災が発生中の区画に立ち入る消防班がより高いリスクに晒されることになる。
- 火災が船舶の他の部分に広がり、より大きな被害につながる可能性があるなど、重大度が増す。一般的に火災の広がり度合いは様々な要因に左右されますが、火災規模の拡大は「時間(time)」の二乗に正比例すると考えられています。つまり、時間の経過とともに火災が成長します。このため、t-squared fireという表現が使われることがあります。
- 鎮火が一層困難になる、
推奨事項
- 消火のために人(消防員)が立ち入ることは、必ずしも最も安全な選択肢とは限りません。消火班を過度な危険に晒さないようにするために固定式の消火装置を使用する方が安全で効果的な場合もあります。こうした判断を行う際、船長は特に火災が最初に報告・検知されてからどの程度の時間が経過しているか考慮する必要があります。
- 消火班は訓練の際、対応に要した時間を記録するようにしてください。その際、次の要素を考慮することをおすすめします。
- 準備作業(人数確認、燃料バルブの閉鎖、通気口の閉鎖、自給式呼吸器[SCBA]の着用など)に要した時間
- 船内の火災個所
- 実施した訓練ごとの対応時間の変化
訓練は火災への備えとなりますが、実際の緊急時の対応は訓練どおりにはならない可能性があることを認識しておくことが重要です。そのため、船長は、火災発生区画への立ち入りを許可する前に、状況を十分把握してから判断するようにしてください。
船舶での火災に関するGard資料
- ロスプリベンションポスター: 火は想像以上に早く燃え広がります
- ケーススタディ: Engine room fie and failure of fixed fire fighting systems(機関室の火災と固定式消火システムの故障)
- ケーススタディ: Engine room fire(機関室の火災)
- ケーススタディ: Use of fixed carbon dioxide fire extinguishing systems(固定式炭酸ガス消火システムの使用)
- 船舶火災に関するプレゼンテーション(2019年):Fire feeds on negligent deeds(火災は不注意から発生します)
- 水煙消火装置の不作動に起因する拘留の頻発
- Fire prevention in engine rooms(機関室における火災予防)
- 海上火災の猛威に立ち向かう
- Fire safety in the engine room(機関室の火災対策)
- コンテナ船火災:Gardカンファレンスを通じて各業界との 意義ある連携を深める