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単独で意思決定を行うデメリット / There are downsides to making decisions in isolation (Japanese HTML)

航路の選定などの重要な業務中に単独で意思決定がされた場合、その決定が適切に実行されず悲惨な結果が引き起こされる可能性があります。

こちらは、英文記事「There are downsides to making decisions in isolation」(2020年3月3日付) の和訳です。

単独で意思決定を行う体制では、その決定の影響を受けるであろう人たちに相談せずに、決定が下されます。意思決定者は、部下がその決定の背後にある根拠を理解し、その上で決定に従うものと期待しています。このようなチームリーダー(例えば、船長など)の期待とチームメンバーの理解の間にある隔たりが「強い権力格差」という文化の特徴です。航路の選定などの重要な業務中に単独で意思決定がされた場合、その決定が適切に実行されず悲惨な結果が引き起こされる可能性があります。

航行に関する事故をまとめたいくつかの旗国の報告書では、船長や水先案内人とブリッジチーム間のコミュニケーションの断絶が事故につながる可能性があることが示唆されています。コミュニケーションの断絶は、必ずしもコミュニケーションが一切ないことを意味しているわけではありません。意思決定者から決定事項の実行者に対する(意見を返す機会のない)一方的なコミュニケーションが原因である場合も往々にしてあります。

 

強い権力格差と協力の欠如

ブリッジチームのメンバー間でのコミュニケーション不足は、大抵、強い権力格差という文化が背景にあります。強い権力格差が根付いた組織では、権力の弱いメンバーが、権力が不平等に分布している状況を受け入れたり、それを当然だと考えるようになっています。そうした組織では、リーダーはメンバーから切り離された形となり、その結果、業務と船の全体効率と安全性が損なわれることになります。

強い権力格差による影響は、主に下位職位の船員に見られますが、彼らに対して単に「声を上げる」よう教育するだけでは、変化は起こせません。文化が理解・評価されて、その文化が変わるようにするには、船のマネジメントに関わる上層部の関与が必要でしょう。

 

隔たりを小さくする

権力格差を弱める最初のステップは、リーダーの下した決定事項の実行者に相談することです。重要な業務に関して事前に部下に相談するという協力的な意思決定体制は、船上での権力格差を弱める方法の1つです。例えば、機関長、当直士官、見張り番、操舵手など、チーム内の重要メンバーを航海計画のブリーフィングに巻き込むことも方法の1つです。これにより、彼らは自分たちの課題を共有しやすくなる上に、さらに重要なこととして、航海計画の実行段階中に声を上げやすくなります。協力的な意思決定体制を確立した後の次のステップは、情報を持つ各個人が意思決定できるよう許可することでしょう。例えば、危機的状況に置かれた船員は陸上の職員から過剰な干渉を受けることなく対応できるよう許可されるべきであり、安全と商業上の問題が対立する場面では、船の職員は安全を第一に考えた決定を下す権限を与えられるべきでしょう。

 

その他の参考情報

損失防止ポスター 「Avoid decision-making in isolation(単独での意思決定は避けましょう)

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