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檣上作業時は、作業に集中しつつ自らの安全確保に努めましょう / When working aloft – focus on your tasks but also on your safety (Japanese HTML)
檣上作業を行う船員は、目の前の任務遂行と自らの安全確保の両方に注意を払わなければなりません。また、檣上作業員の監視役を務める監督者を任命するようにしてください。
こちらは、英文記事「When working aloft – focus on your tasks but also on your safety」(2020年2月25日付)の和訳です。
作業には高いリスクが伴うことから、作業員が適切なPPEを着用するのはもちろんのこと、監督者が作業員に対する適切な監視を行う役割を果たすことが重要です。また、監督者としての役割と別の作業を同時に掛け持ちすると、檣上作業員に対する注意がおろそかなり、作業員の安全性を損なう恐れがあるため、そうした状況は避けるべきです。
米国労働安全衛生局(OSHA)が発行した「Fall Hazard Recognition, Prevention & Control(落下危険性の認識・防止・制御)」によると、ほとんどの人は転落に気付くのに約1/3秒かかり、身体が反応するのにさらに1/3秒かかるとされています。その間に、人は2.1メートル落下します。高所から落下した結果、恒久的な障害を負ったり、時には死に至ったりするケースもあります。Gardが過去10年間に蓄積したP&Iクレームのデータによると、高所からの落下事故全体の5%が死亡事故であり、これは乗船中の死亡原因の上位5位にランクインしています。部員が巻き込まれた高所からの落下事故件数は、職員の同件数の2倍に上ります。
落下のリスクがある場所で行う作業は全て、檣上作業や高所作業として扱う必要があります。こうした場所での作業実施は、他に選択肢がない場合に限定するべきです。他の船員による監視や支援があるからといって、それだけで高所での安全性向上に寄与するとは限りません。それ以外にも改善すべき点はいくつかあります。その一例を下記に挙げます。
- 作業計画時にはリスク評価を行うこと。「5分休憩」や「ツールボックス・トーク」といった口頭でのコミュニケーションは非常に有益です。オーストラリア海洋安全局(AMSA)は高所作業に関するSafety Bulletinで、リスク評価の際に念頭におくべき事項を幅広く紹介しています。例えば、疲れ、訓練、時間的プレッシャー、手順、リーダーシップ、リスク許容、作業負荷、そして環境条件といった項目です。
- 防護対策は、個人単位のものよりも、ガードレールの設置や適切な照明、転倒の危険を示す標識など全員に共通のものを優先させること。
- 各作業者の経験を考慮すること。
- 造船所での作業時も高い安全基準を維持すること。船員は、可能な限り造船所の安全手順に従うとともに、通常の航海上の慣行を実施し、会社の安全基準を遵守する必要があります。
- 作業計画時には緊急事態が発生する可能性を考慮に入れること。
また、高所作業は檣上作業(マストやクレーン上での作業や船外に身を乗り出す作業など)に限られたものではありません。タンク内やその他の閉鎖空間での作業でも、一定の高さから落下するリスクが大きいため注意が必要です。
参考文献
Gard insight:甲板下の高所作業の危険性
ケーススタディ:Working aloft(檣上作業、英文のみ)
ILO(国際労働機関):Accident prevention on board ship at sea and in port(海上および入港中の事故防止、英文のみ)
ポスター:Get help when working at heights(高所作業時は誰かに手助けを依頼しましょう)