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怪我からの手指の保護 / Protect your hands and fingers against injury (Japanese HMTL)
ほとんどの作業において指を使うため、手は最も負傷しやすい部位です。確実に手を保護し怪我を防ぐには、作業の危険性に応じた手袋を着用するだけなくサイズに合った手袋を着用することが重要です。
こちらは英文記事「Protect your hands and fingers against injury」(2020年2月18日付)の和訳です。
過去10年間(2009~2018年)におけるGardのP&I保険データによれば、船員の負傷に伴うクレームのうち約25%が手指の負傷に関連するものでした。またこのデータは、Ratingの手指の負傷件数がOfficerの2倍近くあることを示しており、中でもAble bodied seaman (AB) に多く発生していました。Officerの中では、Engineers (Second engineer, Third Engineer and Electrician)の負傷が多くなっていました。保険金の支払額からみると船員の負傷に伴うクレームの15%が手指の負傷によるものでした。
指を負傷する原因は多数考えられます。器用さが求められる作業を行う際は、危険を認識し、注意して行うことが重要です。危険の認識は、経験、知識、(作業経験者による)適切な指導の有無に左右され、注意力は、作業を行う時間帯や作業者の身体的・精神的な疲労度に左右されます。
それ以外のよくある原因としては、船員が手の保護が必要な理由や作業に合った手袋の選び方を十分に理解していないことが挙げられます。それにより、手袋を着用しなかったり、作業に適さない手袋やサイズの合わない手袋を着用したりして作業を行う状況が生じているようです。安全管理システム(SMS)には、手袋を着用しなければならない作業に加えてどのようなタイプの手袋を使用すべきかについても記載しておくべきです。個人用防護具(PPE)の一覧があるとよいでしょう。
適切な手袋を選ぶ
手袋選びの最初のステップは、擦り傷、切り傷、刺し傷、化学物質への暴露、高温など、各作業における危険性を特定することです。またきつすぎたり緩すぎたりせず十分なフィット感が得られるよう、サイズと快適性も考慮する必要があります。さらに危険の種類と接触時間についても十分な考慮が必要です。手袋の選び方については、Code of Safe Working Practices(商船船員の安全な労働慣行の規範)に次のような推奨事項が記されています。
- 鋭利なもの、ザラザラしたものを扱う場合は革手袋を着用する
- 高温の物体を扱うときは耐熱手袋を着用する
- 酸、油、溶剤、化学物質を扱う場合はゴム/PVC/合成素材の手袋を着用する
- 電気機器を扱う場合は絶縁手袋を着用する
手袋の長時間の着用
ILO(国際労働機関)は、手袋を長時間着用することで皮膚が温まって汗をかき、皮膚トラブルを引き起こす可能性があると注意喚起しており、綿製のインナーグローブを別途使用することがその予防に役立つとしています。
作業に適した手袋やPPEの快適性が船員の作業、そして健康に大きな影響を与えうることにご留意ください。