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ミシシッピ川の水位上昇にご注意ください / High water season in the Mississippi River - be prepared (Japanese)

ミシシッピ川の水位が上昇する時期には、水流の変化や浅瀬形成の影響により、錨の紛失や絡まり、座礁、係船具の損傷が発生する可能性があります。

こちらは、英文記事「High water season in the Mississippi River - be prepared」(2020年4月16日付)の和訳です。

ミシシッピ川の水位が最も上昇する季節は一般的に12月から5月と言われ、水位がピークに達するのは通常2月から5月にかけてです。この4か月以外の時期に水位の上昇は観測されないと一般的に考えられていますが、水位の上昇や流速の速まり、浅瀬形成は年に何度も生じる可能性があり、時には1月から8月にかけてそうした状況が起こったこともあります。ミシシッピ川は広大な陸地から水が流れ込むことに加え、豪雨や雪解け水の影響を受けるため、急激に水位が変化する可能性があります。このため、ミシシッピ川地域の水位の長期予想は常に正確とは限りません。

 

2019年にはミシシッピ川では8月まで高水位が続きました。2020年のこれまでの水位を見ると2019年と同様のパターンとなっているようです。なお、2019年は、ミシシッピ川地域の高水位期間中、錨の紛失や絡まり、座礁、係船具の損傷など、多数の事故が報告されました。

 

水位の上昇、速い水流、浅瀬形成により、輸送遅延が発生したり、錨・係留設備の損傷の発生や、喫水制限や航行制限の実施、タグボートの追加や水先人による支援の必要性、係留や錨泊が困難な状況の発生などにより追加コストが発生する可能性があります。特に、タグボートの追加や水先人の支援が必要となった場合は、追加コストが高額になる可能性があります。

 

推奨事項事前のご準備を

  • 河川の状況や予想、実施中の制限に関する最新情報を現地代理店や米国コーストガード(USCG)の海上安全情報公報(Marine Safety Information Bulletin [MSIB])、米国気象局にて確認するようにしてください。よくある規制の種類には、深喫水船の投錨時に水先案内やタグボートの利用が義務付けられること、航行や係留が日中に限定されること、速度制限、一方通航制限、係留や停泊時の個別の指示、喫水制限があります(急な変更もあり得ます)。
  • 錨と係留装置は正常に機能している必要があり、乗組員は係留装置の限界を十分に把握しておくべきです。
  • 高水位や高流速の場所で錨泊する場合は、錨の位置、機器の限界、天候、水流、風、河床の状態、実施されている現地の規制を把握し、適切に監視する必要があります。タグボートや水先人の支援が必要になる場合があります。
  • 錨の紛失はよく起こる問題ですが、その場合、海難救助、追加のタグボート、水先人の支援などに関するUSCGの要求に従う必要があり、遅延や追加費用の発生につながります。錨の紛失のよくある原因は、錨・錨鎖・揚錨機のメンテナンス不足や、把駐力を超える錨の引きずり、絡み錨の巻き上げ時の負荷の超過、水流や気象条件に関するIACS(国際船級協会連合)の設計制限の超過などです。 
  • 水位上昇時は、「open moor」錨泊、中流の浮標設備、バースにおける錨や係留索の配置が困難になることに注意してください。また、錨、係留索、船首・船尾の揺れを注意深く監視し、水位上昇時の対処方法を理解しておいてください。必要に応じてターミナルに支援を依頼してタグボートや水先人の支援を得ることを検討してください。

 

ミシシッピ川の水位上昇に対して運航者が十分に備えていない場合には、遅延や船舶・設備の損傷、高額な費用のかかるタグボートや水先人を手配する必要性が生じるなど、多額の支出につながる可能性があります。 事故が発生した場合は、急速に状況が悪化し、コストが跳ね上がる可能性があります。このため、余裕を持ち、慎重に行動することをお勧めします。

 

この記事はGardのコレスポンデントであるFernandes Maritime Consultants(ニューオリンズ)とIndependent Maritime Consultingの情報に基づいています。

 

出典:https://rivergages.mvr.usace.army.mil/WaterControl/Districts/MVN/car.gif

 

 

出典:https://rivergages.mvr.usace.army.mil/WaterControl/shefgraph-forecast2.cfm?sid=01300&fid=NORL1&d=7&dt=S 

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