インドおよびパキスタンの港湾状況

現在の状況について、両国の現地コレスポンデントから最新情報を入手しましたのでご案内します。

インド

港湾状況：国内の港は現在、パキスタンとの国境に近い港も含めすべて操業を続けています。

空輸への影響：全ての空港で通常の操業が再開されました。

貿易制限：2025年5月2日、インド商工省は、パキスタン産またはパキスタンから輸出されるすべての物品を、直接または第三国経由で国内に輸入することを禁止しました。さらに翌3日には、この禁止令を「自由な輸入が認められている、または輸入許可を別途得ているかを問わず、パキスタン産またはパキスタンから輸出されるすべての物品を直接もしくは第三国経由で輸入または運送することを、今後新たな命令を発出するまで直ちに禁止する」との解釈に修正しました。

インド海運総局（DGS）は、国内の港へのパキスタン籍船の寄港、およびパキスタンの港へのインド籍船の寄港を禁止する指令「DGS Order 5 of 2025」を発出しました。4月下旬には、パキスタンの港に寄港する船舶に乗船しているインド人船員に対して注意を呼びかける回報「DGS Circular 15 of 2025」も発行しています。

2025年5月15日に発行されたDGS勧告に従い、すべての港がMARSECレベルIに戻ったものの、各港の脅威評価により必要と判断される場合は、強化された保安措置を講じるよう助言されています。

パキスタンの港から/への通過貨物を積載した船舶は、引き続きインド税関による厳格な審査を受け、「ケースバイケース」でのみ受け入れられている。

パキスタン

港湾状況：現地コレスポンデントによると、国内の港はすべて通常どおり操業しており、着岸や出港の停止も確認されていないとのことです。

貿易制限：パキスタン海事省は、国内の港でのインド籍船の着岸、およびインドの港へのパキスタン籍船の寄港を禁止しました。さらに2025年5月4日には、商務省がSRO 750(I)/2025を発行し、追加の貿易制限を設けました。禁止内容は以下のとおりです。

• 第三国がインド産の物品を輸入する際にパキスタンを経由して（海路、陸路、空路により）運送すること

• 第三国がインドから（海路、空路により）物品を輸入すること

• 第三国がインドへ（海路、陸路、空路により）物品を輸出すること

上記の禁止事項は、指令の発出前、つまり2025年5月4日以前にB/LおよびLCが発行または作成されている輸出入には適用されないだろうとのことです。

** 最近発行されたROB（船内保持）に関する明確化通達により、インドの港で荷揚げ後（またはバラスト状態で）に残存貨物を船内に積載した状態でパキスタンに到着する船舶の受け入れについて、疑念は払拭されました。

いくつかの航路変更が報告されています。コレスポンデントは、通商禁止された航路に代わって、中立的な積み替えハブの利用を検討することも提言しています。

船員交代への影響

インドはパキスタン人船員の乗組員交代と上陸を禁止していますが、外国籍船のインド人船員に対して、パキスタン当局による同様の相互制限措置は課されていない。

主な推奨事項

インド、パキスタンともに依然として情勢が不安定なため、両国の海域に配船する際は、寄港に伴うリスクを必ず確認するようにしてください。必要に応じて戦争保険者からも情報を入手されることをお勧めします。

引き続き情勢の変化を注視することを強く推奨します。また船長は、現地の代理店や当局、Gardのコレスポンデントから最新の情報を入手するようにしてください。

旗国主管庁や港湾局から入手した適切な安全・保安策に関する助言は、厳重に守る必要があります。

今回の両国の緊張の高まりは、契約に関するさまざまな係争を引き起こすおそれもあります。契約内容は複雑なことが多く、航海ごとに状況も異なることから、こうした係争に適切に対処するには、法律面から慎重に検討することが求められます。ぜひGardのFD&D担当弁護士にご相談ください。

本記事は、GardのコレスポンデントであるJames Mackintosh & Co Pvt LtdおよびAIV Private Limitedからの情報に基づいて作成したものです。