本事件は、2022年にマーシャル諸島共和国籍の超大型原油タンカーM/T Heroic Idun号が拿捕され、その後、船舶の拘留と乗組員の拘束が行われたもので、判決ではマーシャル諸島共和国側の主張が全面的に認められました。本船は2022年8月12日、サントメプリンシペ共和国の排他的経済水域(EEZ)内で赤道ギニア共和国の海軍によって拿捕。同年11月11日まで赤道ギニア共和国で拘留されたのち、護送され、ナイジェリア当局に引き渡されました。
最終的に解放されるまで、乗組員が拘束された期間は9か月以上(288日)に上ります。
事件当時、本船はGardのP&I保険、FD&D保険、H&M保険に加入していたため、Gardは、ITLOSへの訴訟に対する金銭面などのサポートを行ってきました。
国際法違反
特別裁判部による判決では、本事件における船舶の拿捕・拘留は、航行の自由や旗国の排他的管轄権など国際海洋法条約(UNCLOS)に基づく国際法の基本原則への違反であることが、全員一致で支持されました。また、赤道ギニア共和国による拿捕、およびその後のあらゆる執行措置は国際法に反しており、「continuing wrongful international act(継続的な不法国際行為)」であったと判断されました。
赤道ギニア共和国側は、「自国の対応は海賊の抑止に関するUNCLOSの特例に基づく正当な行為である」と主張していました。しかし、判決ではこの主張を明確に却下。海賊行為は公海の自由の例外ではあるものの、その適用範囲は狭く、慎重に定めるべきものであると強調した上で、証拠を見るかぎり「M/T Heroic Idun号が海賊行為に関与していた疑いがあるとする主張を裏付けるものは一切ない」と判断しました。
乗組員への賠償金
裁判所はマーシャル諸島共和国に対し、1,400万ドル超に利息を加えた裁定額を認めました。これには、本船の乗組員の不当な拘束および虐待に対する賠償金などが含まれており、我々の把握している限りでは、ITLOSによる裁定額としてはこれまでで最も高い額です。赤道ギニア共和国からの支払い後、ここからかなりの額が乗組員の賠償金に充てられる予定です。
GardのChief Claims OfficerであるChristen Guddalは「今回の判決は、航行の自由への不当な干渉やUNCLOSに反する船員拘束は容認されず、法に則った手続きを行えばその違法性がきちんと判断される、ということを明確に示すものです」と述べています。
さらに、「船員の福祉が脅かされ、権利の侵害が生じた場合、Gardは今後も加入船主とその船員の皆さまをサポートしてまいります」とも述べています。
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