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シンガポール海事仲裁所(SCMA)は、海事・国際貿易に関する紛争解決の枠組みを持つ独立した仲裁機関です。SCMAは、ビジネス、技術、法分野においてそれぞれ異なる経験を持つ、多様な民族と多数の女性を含む仲裁人パネルを設置し、海運業界のニーズに応えられよう努めてきました。この度、SCMA2022年から適用予定のSCMA規則第4版を発表しました。

こちらは、英文記事「The SCMA polishes its rules to make Singapore arbitration more user-friendly」(2021年12月14日付)の和訳です。

 

Gardはシンガポール海事仲裁所の招待を受け、海運・国際貿易業界の他の主要ステークホルダーと共に、SCMA規則第4版の起草に参加しました。変更案は、公開協議を経て発表されており、2022年1月1日からSCMAの仲裁に適用される予定です。

 

主な変更点

 

SCMA規則第4版の主な変更点は、変化する業界のニーズに対応し、SCMA規則の利便性を高めることを眼目としています。以下に変更点の一部をご紹介します。

 

  • 広く講じられているCovid-19対策を考慮し、現在の仲裁手続の実施状況に合わせ、技術面で改訂が行われました。例えば、電子メールによる文書の送達が認められるようになったほか、仲裁裁定書に電子署名を行うことを認める条項が盛り込まれました。また、審問や事件運営会合を開催する場合は、コンピューター上で行えることが明記されました。
  • 海運仲裁実務の変化を反映し、仲裁手続が合理化されました。SCMA規則第4版では、仲裁人2名が仲裁を進め、口頭審理の直前に3人目の仲裁人を選任できることが明確に規定されました。書面のみの仲裁の場合は、3人目の仲裁人を選任することなく、2名の仲裁人によって手続を遂行できます。
  • 口頭審理が必須ではなくなり、口頭審理を行うかどうかはSCMAが判断することになりました。ただし、当事者が口頭審理を要請した場合は、依然として口頭審理が行われます。
  • 仲裁における代理人変更の遅延が、手続を頓挫させるための戦略として利用されるケースに対処するため、SCMAは代理人変更の遅延により、手続の遂行または裁定の強制力が害される可能性がある場合、そのような変更の承認を保留する権限を有するようになりました。
  • 仲裁手続のスケジュールや期間について確実性が増しました。仲裁手続は最終書面提出日または最終審理日から3か月経過後に終了したものとみなされ、仲裁裁定書は手続の終了後3か月以内に作成されます。
  • より多くの海運紛争を迅速かつ費用効率の高い方法で解決できるようにするため、簡易手続(旧少額仲裁手続)の限度額が15万米ドルから30万米ドルに引き上げられました。簡易手続では、口頭審理が不要な場合、仲裁人1名が担当し、21日以内に裁定が下されます。
  • 仲裁人の選任条件を標準化し、より高い確実性と透明性を実現しました。選任条件に関する不必要な紛争を避けるため、当事者間で別途合意しないかぎり、デフォルトでSCMAの標準選任条件がすべての仲裁に適用されます。

 

上記のような変更を機に、SCMAの仲裁手続は費用効率に優れ、中立的で柔軟性の高い、公正な紛争解決のための無駄のない手続に進化しています。SMCA規則第4版は Rules (scma.org.sg)でご覧いただけます。