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南アフリカに寄港する際は、本船への不法侵入を防ぐため、警戒態勢を敷いて適切な保安手順を実行するようにしてください。

こちらは、英文記事「South Africa upholds its strict stowaway policy.」(2021年10月11日付)の和訳です。

Gardの南アフリカのコレスポンデントであるP&I Associates (Pty) Ltdからの情報によると、国内の港では密航者が今も後を絶たないとのことです。当局の定めた厳しい密航者政策は今後も維持される予定で、現在は以下の規則が適用されているとの報告がありました。

 

  • 原則として、南アフリカでの密航者の上陸は一切認められません。
  • 南アフリカ国内の港で不法者が乗船した場合、その者は「不法侵入者」ではなく、自動的に「密航者」と見なされ、送還費用の負担については船主が一次的責任を負うことになります。
  • ただし、その不法者が南アフリカにおいて船舶に侵入しようとしたことを証明する写真、動画、または第三者(ターミナル保安局)による証拠を提示できた場合は、出港前にその者をそのまま下船させてもよいことになっています。したがって、船内で発見された不法者を「不法侵入者」と扱うための立証責任は船主が負うことになります。

 

また現在は、「不法侵入者」に対して新型コロナウイルスの検査を行い、陰性が確認されてからでないと下船させられないようになっています。

 

密航者リスクの判断

 

密航者の侵入リスクを軽減・管理することは、運航を行う上で、また船舶と港湾施設の保安のための国際コード(ISPSコード)で定められた義務を守る上で、重要な業務となっています。この重要な保安業務については、出入管理や船内捜索などに関する要件や行動手順、ツールを船舶保安計画(SSP)に明記しておく必要があります。船舶の正式な保安レベルを定めるにあたっては、港ごとの環境・保安体制を十分に考慮し、照明や設備への進入経路、作業場所などの要素も併せて考えておかなければなりません。より詳しい情報を集めるため、現地の船舶代理店や他の船長と情報交換することも推奨します。今はどこで密航事件が多発しているのかということだけでなく、各港でどのような侵入方法が最もよく用いられているのかといった、貴重な最新情報を得ることができます。

 

密航事件は実質どの港でも起こりうるものですが、国際P&Iグループ(IG)の集計したデータによると、南アフリカ諸港は常態的に密航事件の多発地帯となっています。特に、ダーバンはアフリカの中でも入港船舶数ランキングの上位に入っていることもあり、多くなっています。コレスポンデントによると、国内では主に以下の侵入経路がよく用いられているとのことです。

 

  • 係船索を登ってくる
  • ステベドアや港湾当局者を装い、ヘルメットや反射ベストも着けてその他大勢に紛れ込み、ギャングウェイから乗船する
  • 空コンテナなど貨物の中に隠れる

 

また、ギャングウェイでの警備をうまく強行突破した者が後で地元当局に「密航者」と分類されたケースや、ターミナルの保安担当者に賄賂を渡して乗船したケースもあります。

 

対策

 

動機は何であれ、密航は運航者にとって保安、安全、営業、責任上の大きな問題となります。そのため、南アフリカに寄港する船舶の船長と乗組員一同は、本船への不法侵入を防ぐため、警戒態勢を敷いて、定められた保安手順を忠実に守るようにしてください。運航者は、IMO密航者対策ガイドライン(FAL.13(42))で定められている保安手順を確認し、密航リスクに対処するための手順・方法を独自に策定することをお勧めします。

 

南アフリカ諸港に寄港する船舶に対し、現地コレスポンデントは以下の対策を推奨しています。

 

 

  • ギャングウェイでの見張りを常に怠らないようにし、乗船許可を得ている者にはトランスネット国家港湾局(TNPA)発行の有効許可証を必ず所持させてください。また、訪船者は例外なく、ISPSのクリアランスを携行していなければなりません。
  • 出入管理の手順を明確に定めたうえで実行してください。訪船者のTNPA許可証は乗船時に警備デスクですべて回収し、下船時に返却するようにしてください。また、どういう場合に乗船を拒否し、港や船の保安担当に連絡すればいいのか、基準も明確にしておく必要があります。
  • 船の警備デスクは、できればギャングウェイの下に移動させてください。こうしておけば、警備を強行突破して船内に入り「密航者」として扱われようとする者を取り締まりやすくなります。また、業務上問題がなく、港も許可してくれるのであれば、使用時を除いてギャングウェイを上げておくことも検討した方がよいでしょう。
  • 追加費用は掛かりますが、民間警備員を雇い、船の周辺を見回ってもらうことも検討してください。その場合は、常時3名いることが理想的です。1人はギャングウェイを見張り、残りの2人は船首・船尾の係留索周辺を見回るようにするとよいでしょう。
  • 出港前には、専門的な方法で密航者の捜索を行ってください。犬を使う方法などが望ましいです。

 

詳細については、今年1月にコレスポンデントが発行したロスプリベンションサーキュラー「南アフリカ諸港での密航者(Stowaways in South African Ports)」をご参照ください。また、船舶への密航者の侵入防止対策では、乗組員がそれまで訓練を受けたことや経験したことのない任務もこなさなければならない場合があります。そのため、与えられた任務を実行できるよう、任務の概要をしっかり把握したうえで適切な訓練を受けておくことが重要となりますので、運航者はご注意ください。

 

 

本アラートは、南アフリカ・ダーバンのP&I Associates (Pty) Ltd.からの情報に基づいて作成したものです。