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地域紛争や活発化する軍事活動、政治的緊張の高まりによって、表題の海域を航行する商船が脅威にさらされています。

こちらは、英文記事「US MARAD updates its security warning for the Red Sea, Persian Gulf, and Western Indian Ocean region.」(2021年9月20日付)の和訳です。

 

2021年9月1日、米海事局(MARAD)は、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、オマーン湾、アラビア海、アデン湾、バブ・エル・マンデブ海峡、紅海、西インド洋を航行する米国船籍の商船に対し、新たな勧告(2021-009)を発出しました。地域紛争や活発化する軍事活動、政治的緊張の高まりによって、同海域を航行する商船が引き続き脅威にさらされていることを警告する内容となっており、脅威の発生源が、無人航空機(UAV)や吸着機雷、爆発物を搭載したボート、海賊など多岐にわたる可能性も指摘しています。さらに、同海域を航行する船舶は警戒を怠った場合、GPS干渉やAISスプーフィング(なりすまし)、船舶間通信のスプーフィングなど、航海や通信を妨害される可能性もあるとしています。GPS干渉については、MARADの勧告(2021-010)もご参照ください。

 

同海域を航行中の商船が巻き込まれた治安事件については、本稿の執筆時点で、MARADから今年、既に7件の報告があります。1件は、ペルシャ湾を航行中の船舶の船体に機雷が設置されていたというものです。爆発事件に関する報告もあります。オマーン湾を航行中の船舶の喫水線付近で発生した事件が1件、アラビア海を航行中の船舶上で発生した事件が2件です。事件に巻き込まれた船舶について、MARADは、一部の船舶は特定の国や個人、企業と関係があったために意図的に狙われた可能性もあるとする一方、判断ミスや誤認による可能性もあり、無関係な船舶にも攻撃が及びかねないとも強調しています。さらに、イエメンでの紛争によって、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾を航行する船舶が引き続き直接・間接的なリスクにさらされているほか、アデン湾、アラビア海西部、西インド洋で海賊が脅威をもたらしているとも強調しています。

 

推奨事項

 

MARADは同海域を航行する船舶に対し、安全対策の見直しを行い、AISを常時オンにしておくこと(特別な状況は除く。SOLAS条約に従う)、およびVHFチャンネル16を聴守することを呼びかけるとともに、以下のガイダンスを出しています。

 

 

MARAD同様、国際海事局海賊情報センター(IMB Piracy Reporting Centre[PRC])も船長・船主に対し、BMP5の手順に基づき本船の登録・報告を行い、インド洋海賊行為ハイリスク海域(HRA)に入域する前に警備体制を強化しておくよう推奨しています。同海域を航行する際は、目視とレーダーによる24時間の監視が不可欠です。同海域向けに出されている警告・警報を念頭に置いておけば、接近してくるボートを早期に発見した場合に正確な判断ができるようになり、船長や民間武装警備員(PCASP)が、小型船やダウ船、漁船を避けるために十分な情報を得たうえで決定を下し、必要に応じて回避行動を取ったり、応援を要請したりできるようになります。また、IMB PRCは船長に対し、同海域の漁師は網を守るためなら商船に過度に接近することも厭わず、中には捕獲した魚を守るために武装している場合もあると注意喚起をしており、海賊と混同しないよう注意が必要です。

 

その他の情報やアドバイスについては、GardHot topicsのページ「海上での海賊行為と武装強盗」、「イエメン港湾の状況について」でもご確認いただけます。