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オーストラリアとニュージーランドは、9月からクサギカメムシのリスクシーズンに入ります。2021年は、「クサギカメムシのリスクのある国」のリストにポーランドが追加されました。

こちらは、英文記事「The stink bug season is here!.」(2021年9月9日付)の和訳です。

クサギカメムシが問題となる理由

 

クサギカメムシ(略称BMSB/学名Halyomorpha halys)は、果物や野菜作物を食べ、深刻な被害をもたらす農業害虫です。この害虫は、原産地の東アジアから生息域を拡げ、北米や欧州にも個体群が定着しています。しかし、オーストラリア、ニュージーランド、チリにはまだ定着していません。アジアマイマイガと同様、クサギカメムシは、国際貿易に従事する外航船経由で拡がる「ヒッチハイカー害虫」とみなされています。クサギカメムシの成虫は、冬季に寒気から逃れようとして、車輛、機械、部品等の貨物に入り込む傾向があります。

 

クサギカメムシの要求事項は、主に貨物の輸入者を対象としています。この要求事項では、クサギカメムシの個体群の定着した国からの特定の種類の貨物を出荷前に適切に処置し、その証明を取得する責任は輸入者にあるとしています。しかし、クサギカメムシに汚染された船舶は特定の国への入港を拒否される場合があるため、船舶運航者と船員も、適用されるクサギカメムシの季節対策を常に熟知しておくことが重要です。船員は、船内にクサギカメムシや他の外来虫がいないか常に用心し、発見した場合は、入港地の関連検疫当局に報告しなければなりません。

 

船内で発見された昆虫がクサギカメムシかどうか分からない場合、こちらを参照してください。

 

ニュージーランドとオーストラリアは協力して害虫の侵入を防止

 

欧州と北米全域にクサギカメムシが急速に拡大したことを受け、ニュージーランドとオーストラリアは、この害虫の侵入を防ぐための対策を引き続き強化しています。両国は緊密に連携して、可能な限り両国の要求事項を一致したものにしようと取り組んでおり、この記事の執筆時点では、「クサギカメムシのリスクのある国」のリスト、認可された処置の選択肢、沖合処置事業者は同じものになっています。しかし、各国独自の規制と政策により、両国の要求事項と通関手続きにはなお違いがあります。例えば、ニュージーランドはすべての貨物に対して入港前にクサギカメムシの処置を実施することを要求していますが、オーストラリアは完全密封されたコンテナを入港時に処置することを許可しています。したがって、船長と船員をはじめ、輸入・海運業界のすべての関係者は、両国の要求事項を熟知することが求められます。

 

202191から本年のリスクシーズンが始まっていますので、オーストラリアの農業水資源省(DAWE)とニュージーランドの第一次産業省(MPI)のクサギカメムシ対策に関するウェブサイトで、両国の季節対策について詳細な最新情報を確認することを推奨します。両国のクサギカメムシ対策の枠組みは基本的に昨シーズンと同様ですが、以下の点にご注意ください。

 

  • 季節対策は2021年9月1日以降にリスクのある国から船積みされた、またはこれらの国で積み替えられた車輌、機械部品、タイヤ等の貨物に適用されます。
  • ただし、MPIは、2022年4月30日以前にニュージーランドに到着する上記すべての貨物に関して遵守すること要求しており、オーストラリアのDAWEは2022年4月30日までにリスクのある国から船積みされる上記すべての貨物について遵守を要求しています。
  • 船荷証券に記載されている出港日に基づき、貨物の船積み日を特定します。
  • 「クサギカメムシのリスクのある国」のリストにポーランドが追加され、以下の38カ国となりました。
  • オーストラリア当局はベラルーシ、マルタ、スウェーデン、英国、チリを「クサギカメムシのリスクが上昇中の国」と特定しており、2021-2022年のリスクシーズン中、これらの国からの貨物に対して陸上での抜き取り検査を行う場合があると表明しています。
  • さらに、オーストラリア当局は2021年9月1日から2022年4月30日までにクサギカメムシのリスクのある国で停泊、積み込み、積み替えを行うRO-RO船を引き続き特別警戒対象としています。
  • リスクのある国のすべてのクサギカメムシ処置事業者は、オーストラリアとニュージーランドの二国間で処置の選択肢、料金、遵守要件を統一する、共同の沖合クサギカメムシ処置事業者制度に登記されていなければなりません。処置の選択肢は熱処置、臭化メチルによる燻蒸、フッ化スルフリルによる燻蒸となっています。

 

  • ニュージーランドとオーストラリアは相手国に代わってクサギカメムシの処置を実施することはありません。
  • 不適合貨物、すなわち沖合処置が必須の貨物が未処置の状態、あるいは未認可の処置事業者による処置済みの状態で到着した場合は、入港時に国外輸送を指示される可能性があります。
  • クサギカメムシのリスク状況の変化はシーズンを通して継続的に調査されており、両国は適宜(クサギカメムシの発見時等)それぞれの季節対策を調整する場合があります。

 

チリでも排除

 

同様のクサギカメムシ処理対策はチリに入港する船舶にも適用されます。チリの農業牧畜庁(Servicio Agricola y Ganadero [SAG])は、2011年にクサギカメムシを検疫病害虫に指定し、これ以降、主に米国から到着する特定の輸入品に対する検査と燻蒸を義務付けています。中古の衣類、玩具、靴、車輌の貨物でクサギカメムシが見つかったことを受け、2018年に新たな決議(No. 971/2018が施行され、米国からチリに到着するこれらの貨物には燻蒸が義務付けられています。チリのクサギカメムシリスク対策措置の概要(英文)は、こちらをご覧ください。