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こちらは、英文記事「Continued piracy activity in Singapore Strait.」(2021年7月13日付)の和訳です。

2021年上半期にアジアで発生した海賊・武装強盗事件の大半は、シンガポール海峡の分離通行帯の東航レーンで発生しており、最も標的にされた船種は、ばら積み貨物船でした。

 

国際海事局海賊情報センター(IMB PRC)によると、2021年上半期は世界的に海賊行為・武装強盗の数が減少しました。IMB PRCの最新の2021年第2四半期レポートによると、2021年は未遂を含め68件の事件が発生し、2020年の同時期の98件から減少しています。そのうち、32%がギニア湾で発生しており、同湾が船員にとって特に危険な地域であることに変わりはないものの、IMBはシンガポール海峡での運航の危険性についても強調しています。アジア海賊対策地域協力協定(​ReCAAP)情報共有センター(ISC)と同じく、IMBもシンガポール海峡を航行中の船舶に対する武装強盗事件の増加に懸念を表明しています。

 

ReCAAPの6月30日付アラートによると、2021年6月だけでシンガポール海峡で5件の事件が報告されています。その5件すべてがインドネシア・ビンタン島Tanjung Pergam 沖で夜間に発生しており、そのすべてにおいてシンガポール海峡の東航レーンを航行中のばら積み貨物船が巻き込まれました。そのうち3件で、犯人は機関室に侵入しており、エンジンのスペア部品を盗み出そうとしていたものと見られます。これらの事件は場当たり的なものと考えられますが、IMB PRCとReCAAPは、同地域で犯人がナイフを使用するケースが頻発していることを強調し、船員の安全性に懸念を表明しています。また、ReCAAPは、これらの事件の犯人は捕まっていないことからシンガポール海峡でさらに事件が起きる可能性があると警告しています。

 

ReCAAPの2021年上半期報告書では、シンガポール海峡での最近の事件と犯人の手口について、詳しく解説されています。掲載された地図(下の図1)には、2021年1~6月の間にシンガポール海峡で報告された20件の事件のうち、16件がインドネシアのビンタン島北西部の海域で発生したことが示されています。また、このうち13件がばら積み貨物船への攻撃であることも注目に値します。

1202116月にシンガポール海峡で起こった事件の発生場所(出典:ReCAAP

 

推奨事項

 

IMB PRCとReCAAPの最近の報告書を見れば、シンガポール海峡における強盗事件の急激な増加傾向が長期にわたり継続していていることが確認できます。ReCAAPは、2019年10月に初めて、シンガポール海峡で強盗事件が急増していることの警告を発出しており、それ以後、13件のアラートと、Special Report on incidents against ships in the Singapore Strait(シンガポール海峡で発生した船舶に対するインシデントの特別レポート)を通じて、懸念を表明し続けています。

 

したがって、シンガポール海峡を航行する船舶、特に夜間にシンガポール海峡を東回りで通航する船舶は、シンガポール海峡に近づいたり、入域する際に適切な予防措置を講じたりすることが推奨されます。船長はシンガポール海峡に入域する前に、最新情報を入手し、それに基づいて、船舶保安計画の確認、具体的な航行リスク評価、乗組員へのブリーフィングと訓練を実施し、船舶の緊急時の通信計画の準備とテストを行うようにしてください。以下は、一般的な予防措置の代表例です。

 

 

事前の計画が重要です。Gardのウェブサイト「海上での海賊行為と武装強盗」には、海賊行為や武装強盗に対する警戒、準備、対応に関して、船舶運航者、船長、乗組員に役立つ関連ウェブサイト、ガイドライン、Gard資料へのリンクを掲載していますのでご参照ください。