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自動車船では過去に、復原力が不十分だったために転覆する大事故が発生しています。しかも、乗組員も転覆の危険を把握していませんでした。ただ、これは乗組員の問題というより、陸側で行う貨物の積付計画や実際の積付の方法に関する問題といえます。乗組員はこうした作業にほとんど、もしくは全く関わっていないからです。

こちらは、英文記事「Do not depart port without knowing the final cargo weight distribution」(2021年6月3日付)の和訳です。

自動車船の寄港スケジュールはタイトで、タンカーやばら積み船といった他の船種とは運航形態が大きく異なります。他の船種では積付プランを船側で作成しますが、自動車船では陸側で作成し、乗組員は一切関与しません。乗組員ができることといえば、荷役前にもらう積付プランに基づいて船に十分な復原力を確保することくらいです。これはバラスト水を調整して行うのが一般的です。

 

 

問題

 

ここでの最大の問題は、実際に積まれた貨物の重量配分が事前に作成された積付プランと大きく変わる可能性があり、しかも、こうした変更が出港前に乗組員にはっきりと伝えられない場合があるということです。乗組員の手元に積付後の最終プランのコピーが来ない、もしくは、来たとしても、復原力が十分か確認する時間がないということもあります。その結果、復原力が十分でない、つまり、メタセンタ高さ(GM)が小さいか、マイナスの状態で出航してしまうことになるのです。

 

推奨事項

 

  • 運航者は、積付プランに記載されている車両重量が概算値になっていないか確認してください。正確な貨物重量の申告は船積み前の大事な業務です。
  • 事前に作成した積付プランから変更がある場合に備えて、運航者は変更がある旨を船側に伝える体制を整えてください。こうした連絡を行うのは通常、貨物の検数人(プラン作成者、チェッカー、またはスーパーバイザー)で、運航者が手配するのが一般的です。
  • 荷役が完了したら、乗組員は貨物の正確な重量と積付場所が記載された最終プランのコピーをもらい、それをもとに出港時の最終的な復原力を計算してください。
  • 最終的な復原力の計算が終わるまで、本船は綱放し作業を始めないでください。計算が終わらない場合は出航を遅らせることができます。
  • 不明な点がある場合は、運航者と船主/船舶管理会社の両方に連絡し、問題を解消してから綱放し作業に入ってください。

 

関連リンク

 

ポスター:Is your final cargo plan an "estimate"?(その最終積付プラン、「概算値」になっていませんか?)