Rate this article:  

薫蒸は、穀物や木材等のばら積貨物の殺虫を目的に実施されます。薫蒸剤として最も一般的に使用されるリン化アルミニウムは、人体に有害なホスフィンガスを発生させます。船上では、乗組員がホスフィンガスに晒された結果、多数の命が失われてきました。

こちらは、英文記事「Fumigant gasses leaking from cargo holds can have fatal consequences」(2021年5月28日付)の和訳です。

事故と原因

 

Gardが扱ってきた事故の大半は、通常、以下のパターンのいずれかに該当します。

 

  • ホスフィンガスが、空調設備の通気口や、隣接する隔壁の隙間、導管を経由して居住区に抜け出ている。居住区にガス検知システムやアラームシステムが設置されていないと、原因がわからないまま病状を訴えた船員の体調が急激に悪化し、重症化する可能性があります。薫蒸ガスの独特の臭気は、他の臭気に簡単に紛れてしまいます。
  • 乗組員が、事前にガスの確認をせずに、薫蒸ガスが漏洩しているかもしれない、ホールドに隣接するスツールスペースやボイドスペースに立ち入る。このような状況は、貨物の荷揚げ後に生じることが考えられます。乗組員用のガス検知管や適切なガス測定器の数が不足していたケースもありました。
  • 船員やステベが薫蒸処理中のカーゴホールドに立ち入る。ホールド内のポケットに閉じ込められた薫蒸ガスは、表面上のガス検査では検知できない可能性があります。薫蒸ガスの測定が可能なガス検知器を携行せずにホールドに立ち入った乗組員やステベが突然、高濃度のガスに晒される場合があります。
  • ばら積み貨物船での航行中の薫蒸は、乗組員にとって本質的に危険な作業である。乗組員は薫蒸を実施するための十分な訓練を受けていない可能性があり、その場合、危険な作業に身を晒すことになります。また、乗組員が使用する呼吸用保護具(ガスマスク)が適切でないケースがあります。フィルターが、薫蒸ガスに適したものでなかったり、使用期限切れの場合があります。呼吸可能な空気を供給する呼吸用保護具ではなく、避難用のろ過式呼吸用保護具が乗組員に与えられていたケースもありました。

 

推奨事項

 

  • カーゴホールドから薫蒸ガスが流れ込む可能性のあるすべての空間を特定します。特定箇所は薫蒸者(FIC)に知らせる必要があります。
  • 居住区の正圧が失われないようにします。
  • 居住区内に薫蒸ガスの検知・アラームシステムを設置する必要があります。航海中に使用することが望ましく、ガス検知管よりもガスを継続的に監視するシステムが推奨されます。
  • ガス検知管が供給される場合は、航海の期間に見合った十分な数量を確保する必要があります。また、乗組員には使い方の訓練を施す必要があります。
  • カーゴホールド内またはその隣接する空間で作業する者は、適切なガス検知装置を携行する必要があります。乗組員の必須の個人用防護具(PPE)の一つに加えるべきでしょう。
  • 乗組員に対して、薫蒸剤に関連するあらゆる危険性と、どの程度ガスに晒される可能性があるかを周知しておく必要があります。短時間暴露限界値(STEL)と時間加重平均値(TWA)は国によって異なり、例えば、STELは英国では0.2ppm、米国では1ppm、TWAは英国では0.1ppm、米国では0.3ppmとなっています。

 

役立つリンク