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525日より2021年のアジア型マイマイガ(AGM)のリスク期間が始まります。リスク期間中、アジア太平洋の特定地域に寄港する船舶は、出港前に検査を受けた上で「AGM不在証明書」を取得する必要性が生じます。なお、2022年はリスク期間開始日が繰り上げられる可能性があります。

こちらは、英文記事「It is time to inspect for Asian Gypsy Moth」(2021年6月3日付)の和訳です。

アジア型マイマイガ(AGM)は森林に生息する害虫で、国際貿易に従事する外航船を介して拡散します。AGMが本来生息していない国にAGMが持ち込まれた場合、その国の農業や森林資源に深刻な影響を与える可能性があります。AGMは主にアジア太平洋地域に生息しており、ロシア東部、中国、韓国、日本の港湾で大量に発生しています。AGMの飛翔期間(この期間にはメスが船舶の上部構造物や積荷の上に卵塊を産み付けるリスクがあります)は、天候や地域にもよりますが、5月から9月までとなっています。

 

米国とカナダは長年にわたり、アジア太平洋地域における規制対象地域の港に寄港した船舶に対する規制検査やAGM不在証明書に関する要求事項を共同で規定してきました。最近では、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、直近ではアルゼンチンなども北米に倣い、当局による同様の検査制度を確立しています。各国がAGM規制を敷く目的は同様であり、また、米国とカナダが規定するAGMの検査と証明書の要求事項が実質的に「業界標準」として機能してはいるものの、実際の要求事項や入港手続きは国ごとに異なりますのでご留意ください。

 

 

2021年のAGMシーズンに向けて

 

米国とカナダの当局によると、2019年と2020年のリスク期間中は、アジア太平洋の規制対象地域の港湾の多くでAGMが大量発生し、2020年には北米に入港した多数の船舶でAGMの卵塊が発見されました。2021年はこうしたことがないよう、オペレーターの皆様におかれましては、規制対象国には本船上にAGMが不在の状態で到着することが重要であり、必要なAGM関係書類を港湾当局に提出しなければならないことを、船長に対して念押しするようにしてください。また、航行中に体系的な自主検査を本船上で実施するための適切な手順を備えておくことも、遅延や次の寄港地までの航路変更を余儀なくされるような状況を回避するのに役立ちます。

 

 

AGM規制に関し、2021年AGMシーズンに向けて以下の点に留意してください。

 

  • カナダと米国は2021年2月に、今年のJoint AGM Industry Noticeを発行しました。過去24カ月において、現行のAGMリスク期間中(本アラートの末尾の表に記載)に、アジア太平洋地域における規制対象地域に寄港した船舶は、有効な出港前のAGM不在証明書を提示する必要があります。
  • また、カナダは2021年3月にAGM Policy Directiveを改定しました。この改定版Directiveでは、他のAGM規制国が発行したAGM検査報告書を到着前通知に含める必要があることが強調されているほか、米国、チリまたはニュージーランドの当局が検査してAGMが不在であることが明らかとなった船舶についてはカナダでは検査を免除することが明確化されています。また、カナダの船舶代理店が規制対象船舶の到着をカナダ海域に入る前に当局に通知しなかった場合は、本Directive違反とみなされることが強調されています。
  • チリは、アジア太平洋地域の規制対象港を北緯20度から60度の間に位置するすべての港と定義しています。このため、米国、カナダ、ニュージーランドが現在対象地域に指定していない中国南部の港に寄港した船舶も規制対象となる場合がありますので留意してください。
  • アルゼンチンの新しいAGM規制は2021年4月に発効しており、詳細はGardアラート「アルゼンチンでアジア型マイマイガに関する新規制が発効されます」でご覧いただけます。なお、アルゼンチンもチリと同様にアジア太平洋地域の規制対象港を北緯20度から60に位置するすべての港と定義しています。
  • ニュージーランドリスク期間は米国やカナダと同一ですが過去12カ月の間に、前述のいずれかの規制対象地域にAGM飛翔期間中に寄港した船舶に限り、有効な出港前のAGM不在証明書の提示を要求しています。
  • オーストラリアIndustry Advice Notice 88-2021において、AGMに関するリスク管理のために毎年実施している船舶監視強化期間が2021年5月31日に終了したことを発表しました。ただし、2019年および2020年の7月1日から9月30日までの間に、北緯40度から60度、東経147度以西にある東ロシアの港に寄港した船舶は、引き続きオーストラリア当局によるリスク評価の対象となり、到着時にAGM検査を実施すべきか否かの判断が行われることになります。

 

Gardのウェブサイト内の「Frequently asked questions - managing Asian Gypsy Moth risks(アジア型マイマイガのリスク管理に関してよくある質問)」のページに、規制実施国が定める要求事項の概要、関連政府機関のウェブサイトへのリンク、船内で体系的な自主検査を実施する際のアドバイスやガイドラインなどを掲載していますので参考にしてください。

 

2022年の規制動向

 

北米植物防疫機関(NAPPO)のAGM専門家グループは、すべての規制対象国の現行のAGMリスク期間を確認した上で、以下のような改定を提案しています。

 

  • 日本の規制対象地域の修正と、一部地域におけるリスク期間の開始日の繰り上げと終了日の繰り下げ。
  • ロシアにおけるリスク期間の開始日の繰り上げと終了日の繰り下げ。
  • リスク期間を6種類から4種類にまとめる。
  • 利用可能なデータに基づくと、現時点では韓国と中国のリスク期間に変更はない。

 

北米の港に寄港する船舶については、上記のリスク期間の変更により、日本とロシアの港に寄港した船舶に対してAGM不在証明書が要求される期間は延長されることになります。WTO(世界貿易機関)通知システムによると、リスク期間の変更はカナダ、米国ともに2022年から適用される予定です。米国当局が発表した「Revised Special Procedures for Ships Arriving from Areas with Asian Gypsy Moth(アジア型マイマイガ生息地域から入港する船舶に対する特別手続きの改定)」には既に改定案が反映されており、規制対象地域とAGMリスク期間は以下の表のとおりとなります。

 

1規制対象地域と規定のリスク期間(出典:USDA