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プラスチックは海の中でいつまでも漂い続け、生物に被害を及ぼします。船舶からの廃棄物による汚染防止を目的とした法律が初めて導入されたのは1988年のことです。しかし残念ながら、プラスチックゴミの問題は今も解決できていません。

こちらは、英文記事「Be an Ocean Steward and reduce the plastic waste reaching our seas」(2021年3月25日付)の和訳です。

 

法律の制定

MARPOL条約(1973年原案採択、1978年修正案採択)は、海洋汚染防止のために制定された条約で、この条約の附属書Vでは船舶から出る廃棄物の処理について定めています。ここでいう廃棄物とは、食物全般、家庭ゴミ、事業ゴミ、プラスチック全般、貨物残渣、焼却灰、調理油、漁具、動物の死体などのことで、通常の運航中に発生し、定期的な処理が必要なものです。船舶からの廃棄物による汚染を防止するためのこの規則は1988年に国際条約として発効し、今日では、150を超える国々が批准しています。

このMARPOL条約附属書Vはすべての船舶に適用されます。つまり、海上を運航する船舶であれば、その種類にかかわらず適用されるということです。MARPOL条約では、他の海域よりも規制が厳しく適用される「特別海域」がいくつか定められています。現在、附属書Vで特別海域に定められているのは、地中海、バルト海、黒海、紅海、ガルフ海域、北海、広域カリブ海(メキシコ湾、カリブ海を含む)、南極海域の8つです。海洋投棄の防止を目的としたロンドン条約はMARPOL条約を補って公海上での船舶による海上投棄を規定しています。MARPOL条約では陸上側にも、プラスチックなどの廃棄物を受け入れるための適切な施設を用意するよう求めています。

附属書Vでは海上でのプラスチックの投棄を厳しく禁じており、すべての船舶はプラスチックゴミを陸上の受け入れ施設に預けることを義務づけられています。廃棄物の処理については記録を付けなければなりません。多くの国では、このような規則に違反すると厳しい罰則が適用され、処理について正確に記録しなかった場合も規則違反とされてしまいます。米国では、プラスチックゴミの不法投棄(米国領海内か否かを問わない)を隠蔽するため処理記録を改ざんした場合、それを行った個人や企業が刑事訴追され、懲役刑などの厳しい罰則が適用される可能性もあります。

 

プラスチックの海上流出を防ぐために

プラスチックは海の中でいつまでも漂い続け、生物に被害を及ぼします。そのため、船員はプラスチック製品が船外に誤って流出しないよう注意しなければなりません。船主や管理会社の方で備品の調達方法を見直し、船内で使うプラスチック製品を減らすことも流出防止に繋がるでしょう。陸上施設での最適な受け入れ体制の整備を一同で求めていくことも役立ちます。『Consolidated guidance for port reception facility providers and users(港湾受け入れ施設事業者および利用者向け統合ガイダンス)』(MEPC.1/Circ.834/Rev.1)は、MARPOL条約で定められた廃棄物の陸揚げを検討している船員の参考にしてもらおうと作成されたガイドで、最適な受け入れ体制整備のための指針となっています。受け入れ施設の作業工程の中に上記ガイダンスの附属書1で定めた手順にそぐわない点があった場合には、それを報告するよう船長に働きかけてください。そうすることが、廃棄物の受け入れにふさわしい施設の整備を後押しすることになります。

 

今回の内容についてさらに詳しく知りたい方は、国際海事機関(IMO)の「Prevention of Pollution by Garbage from Ships(船舶からの廃棄物による汚染防止)」のページをご覧ください。

また、Gardの記事「MARPOL条約で認められる『最も近い陸地から』の距離に注意」、「ゴミの山が貴重な資源に:オーシャン・クリーンアップのたゆまぬ取り組み」、「地球規模で考え、地域で貢献しよう」もご覧ください。

海の管理人になり、プラスチックゴミの海上流出を減らすべく、それぞれの務めを果たしましょう!