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こちらは、英文記事「Discharging soyabeans in China」(2021年3月18日付)の和訳です。

今回は、中国到着時に大豆が損傷していた場合や、荷揚げの開始が遅れる場合に講じるべき対策の概要についてご紹介します。

 

船積みされた大豆貨物は、たとえ船長・乗組員が荷役中や航海中に対策を講じても品質が低下してしまうおそれがあることに変わりはありません。この品質低下は、貨物の水分値や温度が高い、傭船者の荷揚げ指示の遅れや指示不足により船内に積まれている期間が延びてしまったといったことで発生し、船側ではいかんともし難い理由(滞船やその他営業上の理由)が原因であることも多々あります。

 

以前のGard Insightでもお伝えしましたが、国際的な専門家たちは、このような貨物自体の性質、つまり貨物固有の瑕疵(inherent vice)による損傷を防ぐ手だては一切ないという見解を述べています。しかし、これまで中国の海事裁判所は大豆の損傷を巡る裁判で貨物関係者に有利になるような判決を下してきており、船主とP&Iクラブは多額の支払いを強いられる事態になっています。

 

品質低下は固有の瑕疵によるものだということを中国の裁判所に認めさせることは、これまでの状況を見る限り難しいでしょう。この固有の瑕疵は、英国法でも中国の海商法でも認められている貨物の損傷に対する免責事項ですが、今までこれが中国の裁判所で適用されたことはありません。これまでのInsightでは、大豆の安全輸送や損傷へのクレーム対抗を最善の形で進めるため、損傷の発生理由や船積み中・航海中に講じるべき対策について見てきました。今回はその続きとして、揚地到着時に貨物が損傷していた場合や、荷揚げ遅れによって貨物の品質低下のおそれがある場合に、どのような対策を講じればよいのかをご紹介します。

 

 

 

揚地での対策

 

本船の着岸が数週間もしくは数か月単位で遅れる場合には、次の対策を講じることをお勧めします。

 

 

  • 着岸・荷揚げの遅延に関するプロテストレターを発行する – 荷受人にレターを毎日発行し、船舶代理店・傭船者・再傭船者を通して関係者に通知してください。
  • ハッチカバー開放時の立ち会いや貨物の外観・温度チェックのため、優秀なサーベイヤーを手配する – 開放時に一緒に立ち会ってもらうよう、傭船者・再傭船者にも声をかけてください。
  • 貨物の状態について、すべてのホールドで貨物上部の全体が収まるように写真や動画で記録する – 揚地到着後に初めてハッチカバーを開けたときに行うほか、遅延により待機している間も定期的に実施してください。輸入手続きが終わっていないなどの理由でサーベイヤーや傭船者・再傭船者が乗船できない場合は、単独で進めてしまって構いません。
  • 貨物表面の温度を測る - 各ホールドで、較正済みのデジタル温度計を使って深さ1メートルの箇所を計測します。温度計はできれば長さ1メートルの熱電対プローブに取り付けるとよいでしょう。計測結果は正確に記録してください。乗組員もサーベイヤーも1メートルの熱電対プローブを入手できない場合は、深さ30~50cmの箇所を計測してください。毎回できるだけ同じ箇所を計測するとよいでしょう。
  • 遅延の理由について、現地で問い合わせや調査を行う – 以下のような理由が考えられるでしょう。

¡   港・バースの船混み

¡   取引上の問題(税率の変更、貨物価額の変動など)

¡   陸側の保管スペースが空いていない

¡   輸入手続き(中国と積出国との間での紛争、検疫による制限、遺伝子組み換え貨物の輸入許可が取れていない、など)

 

貨物の損傷(水濡れ、カビ、焼け、固結、変色、コンタミ、高温状態など)が判明した場合は、次のように進めていくとよいでしょう。

 

  • GardGardの現地コレスポンデントに連絡し、貨物の外観について報告する - 貨物の状態からして必要だと判断した場合、Gardの方で優秀なサーベイヤーや専門家を手配します。乗船して損傷原因を調査してもらい、どのような証拠が必要か助言をしてもらいます(貨物の温度・水分量を計測する。一般的なサンプル採取法として認知されており、サーベイヤーや専門家も指定している油・種子・油脂連盟(FOSFA)のルールに従って代表サンプルの採取を正しく行う。採取したサンプルは、中国国内外を問わず信頼のおけるラボで検査を行う。貨物の損傷傾向が分かるような写真を撮る、など)。
  • Gardの指示があり次第、コレスポンデントとサーベイヤーに荷受人や税関・入国管理局・検疫所(CIQ)などと早めに連絡をとってもらう – 揚げ荷役の手配について話を進め、専門家の助言に従って貨物の損失を少しでも減らすことが目的です。
  • Gardに現地の優秀な弁護士を手配してもらう – 航海(開始から荷揚げ完了まで)に関する乗組員の供述を取ることが目的です。
  • 手配した現地の弁護士に交渉してもらう – 貨物関係者が荷揚げを早く開始せず、損傷を食い止める適切な対策を講じない場合、こちらに損害請求をしないよう交渉してもらいましょう。
  • 手配したサーベイヤー・専門家に揚げ荷役を監視してもらう - 損傷した貨物の隔離・保管・積み替えがこちらに不利益にならないような形で行われているかをチェックしてもらいましょう。
  • 手配したサーベイヤー・専門家に損傷貨物の格落ち転売や処分のフォロー、立ち会いを行ってもらう – こちらに不利益にならないような形で進められているかをチェックしてもらいましょう。
  • 手配した弁護士・専門家にクレーム金額に関する証拠を収集してもらう – たとえば、大豆や大豆製品の滅失率の算出方法について専門家の意見を聞く、といった方法があります。

 

書類については、しっかりと保存し、Gardの手配した現地弁護士に公証手続きをしてもらってください。手続きは中国の港に着岸している間に行った方がよいでしょう。その間であれば、公証人を船に呼んで書類を確認してもらえます。出港後ですと、時間も費用もかかり非常に難しくなってしまいますのでご注意ください。公証手続きをすべき書類には次のようなものがあります。

 

  • 着岸・揚げ荷役の遅延に対するプロテストレター(必要があれば)
  • その他のプロテストレター
  • 揚地での荷役準備完了通知
  • デッキログ
  • 荷送人の貨物申告書
  • 貨物の品質証明書(入手できた場合)
  • 積地、揚地でのStatement of facts。揚地の分については、着岸・荷役の遅れに関するリマークに問題がないか船長が確認してください。遅延に関して荷受人・傭船者が免責となってしまうような記載は避けてください。
  • 本船受取証、積荷目録
  • 揚荷報告書
  • 積付プラン、積地・揚地での荷役順序の記録
  • 傭船者の航海指示書

 

  • 貨物の燻蒸指示書、燻蒸に関する記録が載ったログブック
  • 換気に関する記録が載ったすべてのログブック
  • 本船の図面、エンジンログ(航海中、ホールドに隣接したFOタンクから熱が伝わっていないことが分かるもの)
  • 積地でのホールド検査合格の記録。ホールドとハッチカバーの状態を移したカラー写真も添付しておくとよいでしょう。
  • 荷役前のサーベイレポート(あれば)
  • 船積み中・航海中に、船長チェックリストに従って集めたその他の記録すべて

 

 

今回のInsightは、Heng Xin法律事務所のM.Q. Zhu氏、Wang Jing & Co ShanghaiXiangyong Chen氏、Brookes Bell社のNicholas Crouch氏にご協力をいただき作成いたしました。

 

 

詳細については、大豆貨物の船積み・輸送時のチェックリストのほか大豆貨物の微生物学的不安定性大豆・穀類貨物の最適な換気方法の動画をご参照ください。