Rate this article:  

船員を苦境に陥れている新型コロナウイルスが感染拡大の兆しを見せ始めるだいぶ以前に、GardClaims ExecutiveであるOsmund Johnsenは、GardのメンバーであるKristian Gerhard Jebsen SkipsrederiKGJS)社からの招待を受け、ラス・パルマスからアルヘシラスまでの補油航海の間SKS MOSEL号に乗船する機会に恵まれました。JohnsenKGJS社のニュースレター向けにその体験を寄稿した文章を今回改めてご紹介いたします。このような機会をご提供くださったKGJS社およびSKS MOSEL号の乗組員の皆様に感謝申し上げると共に、近い将来再び乗船する機会が訪れることを願っております。

こちらは、英文記事「Sailing with the SKS MOSEL from Las Palmas to Algeciras」(2020年6月10日付)の和訳です。

ベルゲンに本社を置くKristian Gerhard Jebsen Skipsrederi社は、かねてよりGardにご加入いただいている大切なお客様です。今年Gardは、同社の運航するタンカーSKS MOSEL号にクレーム担当者を乗船させる機会をいただきました。同社の船舶管理監督であるLeif Magne Kvalvaag氏と共にラス・パルマスからアルヘシラスまで向かう1航海の乗船です。私はこれまで乗船経験がなかったため(カーゴクレームグループの同僚の多くは経験あり)、チームリーダーから乗ってみてはどうかと打診を受けました。船上で生活して貴重な知識や経験が得られるなど願ってもない機会です。行きますとその場で答え、ラス・パルマス行きの計画を立て始めました。本船は積み荷のコンデンセート(超軽質油)を揚げたブラジルから戻る途中、そこで補油する予定になっていました。

私は早朝の便でクリスチャンサンにあるヒェヴィク空港を発つと、ラス・パルマスにあるホテルでLeif Magne氏と会い、その日の晩はそこで夕食を共にすることにしました。翌日、船舶代理店の送迎で出入国管理事務所に立ち寄った後、通船に乗って本船がバンカーバージを待っている錨地へ向かいました。梯子を登る前には、船体に付着生物がないかを確認するため本船の周りを一周しました。付着生物が成長するとスピードが落ちて燃料消費も増えてしまう恐れがあるためです。空船である本船の乾舷は約14.5メートル。このときのラス・パルマスの穏やかな天候には心から感謝しました。荒天の中で梯子を登るのは大変に違いありません。

 

 

乗船後はP. Zaluska船長と挨拶。船長はこのラス・パルマスでMarek Anuszkiewicz船長と交代しました。Leif Magne氏は本船のことを知り尽くしているうえに海上勤務の経験もあったため、私は自分が非常に恵まれており、今回の招待を受けてやっぱりよかったとすぐに実感しました。出港準備が整うまでは、本船をひととおり案内してもらったり、多くの乗組員たちと挨拶を交わしたりしながら過ごしました。Anuszkiewicz船長の話では、次の貨物が決まっていないためアルヘシラスまでは低速で向かわなければならないとのこと。これは主に燃料を節約することが目的です。燃料を節約すれば費用も節約でき環境負荷も小さくすることができるからです。船での生活について学べる時間が増えるので、乗船期間が延びることは大歓迎でした。

海況が良かったため、本船内の移動やMagne氏の仕事への随行は楽でした。Magne氏からはご自身の長年の経験と貴重な知識を惜しみなく分けていただきました。確かに、Eメールをやり取りするよりも対面でコミュニケーションを取って話し合うほうがずっとやりやすいと乗組員もMagne氏の今回の乗船を感謝していました。船舶管理監督の側でも、喫緊の問題があれば報告してもらい、次回のドライドック入渠など長期的な計画を立てることができるようです。

乗組員たちの間では「団結心」が十分に育まれており、航行中には次の航海に向けた準備にも余念がありません。本船と貨物が次の目的地に安全に到着できるよう、備品や食料、燃料油の注文などを行います。船長や一等航海士、機関長、電気技師を交えて10時と15時に行われるコーヒーミーティングに参加したときには、進行中のペイント作業や機関室でのメンテナンス作業など本船上でその時々で行われていることについて興味深い知識を得ることができました。

 

 

海運ビジネスのP&I保険の提供側で働いていると、私たちが関わるのはたいていクレームが起きてからです。ですから、「安全第一」という安全文化がしっかりと確立されていることに気付くことができ、非常に安心しました。例えば、私が乗船して間もなく、警報が鳴ったときの集合場所など安全に関する基本的事項を三等航海士が教えてくれましたし、月に一度の安全会議は良い雰囲気の中、安全性など本船上の事柄についてあらゆる問題が提起されていました。また、この会議はKGJS社からの最新ニュースを伝えるよい機会にもなっていました。 

機関室、ポンプ室、船首倉など入れる場所の大半を見せてもらった後は、ドローンで撮影した面白い動画を見せてもらいました。映っていたのは船倉の1つ。入ることのできなかった場所です。前回積んだ貨物のガスに誤って引火しないよう、空の船倉は不活性状態(酸素濃度5%未満)に保たれています。仕事の合間には、食堂でおいしい食事を堪能したり、P. Zaluska 船長の描いた素敵な絵の数々を見せていただいたりしました。

 

KGJS社では乗組員に対してさまざまな娯楽活動を提供しており、娯楽室からは、一日の長い仕事を終えた乗組員たちが集まってサッカーゲームのFIFA 2019で遊ぶ元気な声が聞こえてきました。もちろん天候が許せばの話ですが、バスケットボールも人気でした。 

航海を始めて2日ほど経つと、新しい貨物の予定が船長のところに届きました。アルヘシラスで船主都合の用件を済ませたのち、できるだけ速やかにラトビアに向かうとのこと。予定が決まると、本船のスピードを上げると共に、みるみる活気も出てきました。ブリッジの当直員は、それまで外洋で難民がいないか常に見張っていましたが、ジブラルタル海峡の通峡時は通航量や漁船が増えるため、じきに警戒を強めることになります。清水と備品の補充のため本船がアルヘシラスの沖でドリフトしている間に、Magne氏と私は梯子を下りて通船に乗り込みました。今回も天候は良好。本船SKS MOSEL号が次の目的地へ向けて出港するのを見届けました。 

ノルウェーのアーレンダールにある自宅に無事戻ってきた今、最後に、今回の素晴らしい機会を与えてくださった船長、乗組員、およびKGJS社の皆様に心より御礼申し上げます。今回得た知識は必ずや役立つに違いありません。今後も懐かしい思い出と共にこの旅を振り返ることと思います。