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20204月初めから3週目までの間に、メキシコ湾南縁でのオフショア支援船に対する海賊行為が多発しています。同地域を航行する際は注意してください。

こちらは、英文記事「Piracy in the Gulf of Mexico」(2020年4月22日付)の和訳です。

MARAD(米国海事局)は、2020年4月17日、メキシコ湾南部にあるカンペチェ湾地域内の、メキシコのシウダード・デル・カルメンおよびドス・ボカス近辺で海上の脅威が発生したとするアラートを発令しました。この脅威とは、2020年4月4日から4月14日の間に発生した4件の海賊事案を指すものです。4件のすべてでオフショア支援船が襲撃され、一部では乗組員の負傷と窃盗が報告されています。

 

したがって、シウダード・デル・カルメン地域を航行または通過する際は、警戒を強化してください。

 

メキシコ湾の治安状況

MARADのアラートは、特定の地域・時点における差し迫った脅威を伝えるためのものであり、短期間に限定されたものです。しかし、メキシコ湾南縁では、海賊・武装強盗事件が続いているようです。国際海事局海賊情報センター(IMB PRC)によると、過去12か月間にメキシコ湾南部で発生した事件は4件にとどまっている一方で、各種のメディア報道では2016年以降にメキシコの海上石油インフラに対する攻撃が急激に増加していることが伝えられています。一部メディアでは、2019年1月から9月までで、1か月当たり平均16件の攻撃があったとも伝えられています。上記の数字は裏付けされたものではありませんが、メキシコ湾で発生した事件数が相当に過小報告されている可能性があることを示唆しています。

 

IMB PRCによると、犯罪者は、高速航行可能な小型船に乗り、武装し、暴力的な傾向があります。彼らは主としてオフショア支援船をターゲットにしており、IMB PRCによると、過去10年間、メキシコでは大型商業船に対する攻撃は発生していません。高性能機器が強奪され転売されたり、乗組員が誘拐されるなど、その手口から、海上でも組織犯罪が広まっている模様です。

中南米とカリブ海域で発生した事件

 

船舶に対する海賊・武装強盗事件は、今日、海運業界が抱える課題の1つになっています。発生地域は「ハイリスク地域」として知られるギニア湾や、東南アジア海域、インド洋だけにとどまりません。

 

IMB PRCによると、ペルーは、2019年の事件発生報告件数でトップ5に入っています。2019年にはペルーのカヤオの係留地で10件の事件が発生しており、うち5件が第4四半期に発生しています。2020年の第1四半期には、その同じ場所で新たに3件の事件が発生しています。また、エクアドルでも最近、襲撃事件が発生しています。IMB PRC によると、2020年4月前半にグアヤキル付近で、航行中のコンテナ船が襲撃される事件が2件発生しています。

 

下図は中南米とカリブ海域の最近5年間の統計ですが、2015年以降、事件数が3倍に増加していることが見て取れます。

 

 

引き続き警戒が必要

 

中南米とカリブ海域で船舶を運航する場合は、以下の対策を講じてください。

 

  • IMB PRCのウェブサイトを確認したり、現地代理店や地元当局と綿密に連絡を取るなどしたりして状況を注視してください。
  • メキシコ湾海域に入域する前に、「Global Counter Piracy Guidance for Companies, Masters and Seafarers(船会社・船長・船員向けのグローバル海賊対策ガイダンス)」に沿って、航海特有の脅威とリスク評価を実施してください、また、「船舶保安計画」を点検し、適切な予防策を講じるようにしてください。
  • ハイリスク海域に入域する前に、乗組員に船舶保安計画に記載されているセキュリティ体制について説明し、訓練を実施してください。乗組員が事前にプランを立て訓練を受ければ、海賊行為や武装強盗による攻撃を未然に防ぐことができます。IMO MSC.1/Circ. 1334に基づき、攻撃に遭遇した場合や不審な行動を目撃した場合は、そのすべてを現地当局、旗国、IMB PRCに報告することが推奨されています。
  • 厳格な監視を続けることが大切です!Global Counter Piracy Guidance(グローバル海賊対策ガイダンス)によると、厳格な監視は最も効果的な防御手段です。これにより、不審な船舶の接近や襲撃を早期に発見して防御態勢を取れるようになり、襲撃を未然に防ぐ抑止力になります。

 

また、襲撃に遭った場合は、必要に応じて、その地域の他船、軍隊、法執行機関、福祉事業者と協力することも重要です。