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2019-2020年のクサギカメムシのシーズンが訪れ、カメムシの個体群が定着した国からニュージーランドやオーストラリアに入港する船舶は、検査の強化に備える必要があります。昨シーズン、ニュージーランドは4隻の汚染された船舶を自国水域から排除しました。

こちらは、英文記事「New Zealand and Australia issue stink bug warning」(2019年8月29日付)の和訳です。

クサギカメムシが問題となる理由

 

クサギカメムシ(略称 BMSB/学名 Halyomorpha halys)は、果物や野菜作物を食べ、深刻な被害をもたらす農業害虫です。この害虫は、原産地の東アジアから生息域を広げ、北米や欧州にも個体群が定着しています。しかし、オーストラリアとニュージーランドにはまだ定着していません。この害虫がニュージーランドまたはオーストラリアに侵入すれば、両国の農業経済や独特の環境に深刻な悪影響をもたらす可能性があります。

 

アジア型マイマイガと同様、クサギカメムシは、国際貿易の外航船によって持ち込まれる「ヒッチハイカー害虫」とみなされています。クサギカメムシの成虫は、冬季に寒気から逃れようとして、車輛、機械等の貨物に入り込む傾向があります。

 

ニュージーランドとオーストラリアがカメムシ排除のため協力

 

欧州と北米全域にクサギカメムシが急速に拡大したことを受け、ニュージーランドとオーストラリアは、これらの侵入を防ぐための対策を強化しています。また、ニュージーランドとオーストラリアは、両国に貨物を輸送する船舶がより容易に対応できるようにするため、緊密に協力して可能な限りシーズンごとの対策の内容に整合性をもたせることとしました。2019-2020年のクサギカメムシのリスクが高まるシーズンについては、次の対策が取られます。

  •  共同の「沖合クサギカメムシ処置事業者制度」の導入。ニュージーランドの第一次産業省とオーストラリアの農業省が共同で認可処置事業者のリストを管理し、両者のウェブサイトで公表する。
  • 処置方法の選択肢の連携。熱処置、臭化メチルによる燻蒸、フッ化スルフリルによる燻蒸という3つの処置方法に変わりはないが、一部の処置申請料が変更されている点に注意が必要。

 

クサギカメムシの個体群が定着していることが知られている国のリストは、オーストラリアとニュージーランドで同じで、ニュージーランドでは「措置対象BMSB国」、オーストラリアでは「リスク国」と呼ばれています。2019-2020年のクサギカメムシシーズンには、このリストは拡大しています。

 

クサギカメムシの個体群が定着していることが知られている国

アルバニア

フランス

オランダ

アンドラ

ジョージア

ルーマニア

アルメニア

ドイツ

ロシア

オーストリア

ギリシャ

セルビア

アゼルバイジャン

ハンガリー

スロバキア

ベルギー

イタリア

スロベニア

ボスニア・ヘルツェゴビナ

コソボ

スイス

ブルガリア

リヒテンシュタイン

スペイン

カナダ

ルクセンブルク

トルコ

クロアチア

マケドニア

米国

チェコ共和国

モンテネグロ

日本

 

しかし、二国間にも要求事項や強制措置の違いはあります。重要な違いの一つは、オーストラリア農業省はコンテナ輸送された貨物については引き続き入港時の処置を認めていることです。さらに、2019-2020年のカメムシシーズンは、オーストラリアの方がニュージーランドより1カ月長くなります。これは、オーストラリアの方が気候・日照条件が温暖で、遅い時期までカメムシが定着できるためです。

 

ニュージーランドの新規制

 

2019年7月22日、ニュージーランド第一次産業省(MPI)は、車輛、機械及び部品の輸入衛生基準およびすべての国の海上コンテナの輸入衛生基準の新版を発行しました。

 

いずれの基準も、クサギカメムシの個体群が定着していることが知られている国からニュージーランドへの特定貨物の輸入要件に大きな変更があります。以下にその内容を要約します。

 

  • 新要件は、2019年9月1日以降にいずれかの措置対象BMSB国から輸出され、2020年4月30日までにニュージーランドに入港する特定貨物に適用される。
  • クサギカメムシのシーズン中にいずれかのリスク国から輸出されるすべての新品または中古の車輛、機械及び部品は、ブレークバルク貨物および海上コンテナ貨物のいずれも、ニュージーランドに入港する前に処置しなければならない。
  • さらに、イタリアからの海上コンテナは、車輛、機械及び部品以外の貨物を積載したものも含め、ニュージーランドに入港する前に処置しなければならない。
  • 日本からの中古車も特別要求事項の対象となる。日本からの中古車(バイクを含む)の輸入は、台数が多いことに加えて、クサギカメムシのシーズン以外もアジア型マイマイガなど他の害虫によるリスクを管理する必要性があることから、年間を通じてMPIが認可する中古の車輛及び/又は機械システムにより管理する必要がある。
  • 輸送貨物に応じて沖合または陸上で行われる貨物に対するすべての処置は、MPI認可処置事業者が行われなければならない。

 

ニュージーランドのウェブサイト「Brown marmorated stink bug requirements」(クサギカメムシに関する要求事項)にその他の情報やガイダンスが載っていますので、船舶運航者は参照するようにしてください。車輛、機械及び部品の輸入衛生基準の付表1に、すべての対象貨物の概要が記載されています。2019年8月1日付け「Stink bug warning to importers」(カメムシに関する輸入者向け注意)も参照してください。

 

オーストラリアにおける季節対策

 

2019-2020年のクサギカメムシのシーズンに先立ち、オーストラリア農業省が発表した対策の一部を以下に示します。

すべてのRO-RO船に対する検査が強化される。

  • 2019年9月1日以降にいずれかのリスク国から輸出され、2020年5月31日までにオーストラリア領内に入港する特定貨物は、クサギカメムシの検査対象となる。
  • 「高リスク貨物」に分類される貨物は、クサギカメムシのリスクに対する強制処置が必要である。貨物がブレークバルク貨物として輸送される場合、オーストラリア入港前に処置する必要がある。コンテナ貨物については、陸上処置が許可される。
  • 「リスク貨物」に分類される貨物は、強制処置は必要ないが、陸上での抜き取り検査が強化される。
  • 輸送貨物に応じて沖合または陸上で行われる貨物に対するすべての処置は、オーストラリア農業省が認可する処置事業者が実施しなければならない。

オーストラリアのウェブサイト「Seasonal measures for Brown marmorated stink bug (BMSB)」(クサギカメムシの季節対策)に現在対象となっているすべての高リスク貨物およびリスク貨物、従うべき対策の概要が載っていますので、船舶運航者は参照するようにしてください。2019年8月7日付けの業界Advisory Notice 128-2019「Treatment requirements for the 2019-20 Brown marmorated stink bug (BMSB) risk season」(2019-2020年のクサギカメムシシーズンの処置にかかる要求事項)も参照してください。

 

チリも排除

 

同様のクサギカメムシ管理対策は、チリに入港する船舶にも適用されます。チリの農業牧畜庁は、2011年にクサギカメムシを検疫病害虫に指定し、それ以降、(主に米国からの)特定の輸入品に対して規制と燻蒸を義務付けています。最近、古着、玩具、靴、車輛でクサギカメムシが見つかったことを受けて、新しい決議(No. 971/2018)が2018年2月10日に施行され、米国からチリに輸送されるこれらの輸入品の燻蒸が義務付けられました。この決議はさらに2019年に修正され(No. 5607/2019)、中古車輛及び車輛部品に適用される対策が組み込まれました。チリによるBMSBリスク対策措置に関しては、こちらを参照してください。

 

推奨事項

 

汚染されている可能性のある貨物を、できる限り清浄な状態で入港地に入港させる最終責任は輸入者にありますが、国境でカメムシが発見された場合、船舶運航者にも重大な影響が及ぶ可能性があります。昨シーズン、ニュージーランドは4隻の汚染された船舶を自国水域から排除しました。

 

オーストラリア、ニュージーランド、チリに入港する船については、船長・船員に対して、適用されるクサギカメムシ管理対策を周知徹底するようにしてください。原産国において商品や貨物のクリーニングまたは処置が必要な場合があります。また、すべての船員が船内のクサギカメムシやその他の

外来虫の存在に常に留意し、船内で発見した場合は、入港地の関連検疫当局に報告するようにしてください。

 

船内で発見された虫がクサギカメムシかどうか分からない場合、こちらを参照してください。