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コンテナ船火災の問題に対しては重要な対応策が講じられつつありますが、Gardの推定では、2020年に入ってこれまで、2週間に1度の頻度でコンテナ貨物関連の火災が発生しています。

こちらは、英文記事「Containership fires - keeping up the pressure for change」(2020年11月3日付)

の和訳です。

コンテナ船の貨物関連の火災については、ここ数年、業界でも頻繁に議論されています。幸いにも、最近はYantian Express号、Maersk Honam号、MSC Flaminia号で発生したような大規模な火災は発生していません。しかし、コンテナ船火災に関するGardカンファレンスから1年が経過した今も根本的な課題は依然として残されており、今後も変革を推進するための行動を継続する必要があります。

 

コンテナ火災の数は減少していません

 小規模な火災を始め、船内での「ニアミス」やターミナルエリアでのコンテナ内の火災は現在も頻発しています。ぼやで済むか大規模な火災に発展するかは、乗組員の迅速な対応だけでなく、運に左右される面があります。統計によると、コンテナ貨物から発生する火災の頻度は減少していません。Gardの推定では、今年はこれまでに平均しておよそ2週間に1度の頻度で火災が発生しています。

 

 

貨物関連の出火で最も多い原因は、依然として木炭の自己発熱です。2番目は、不適切あるいは不十分な梱包や、ブッキング時の誤った貨物情報の申告が原因で危険な状態で積み込まれた化学物質です。3番目はバッテリーです。バッテリーの需要はますます高まっており、それに伴い、バッテリーの輸送需要も増加しているようです。バッテリーは、製造が粗悪な場合や個々のバッテリーの固縛が不十分な場合、出火の危険があります。梱包内でバッテリーが荷崩れを起こし、バッテリーが破損して出火した事例も複数あります。

 

こうした危険貨物が適切に申告されないと、船会社や船舶の計画担当者は、船内のコンテナ積載場所を管理できなくなります。これにより、危険貨物が熱源にさらされ、火災検知や消火活動が困難になる可能性があります。荷送人や製造業者は理論上、危険貨物の誤申告に起因する損害に対し、責任を負いますが、実際には荷送人や製造業者に対する賠償請求は難しいことが多々あります。

 

規制への取り組み

1年前、Gardはコンテナ船火災に関するカンファレンスを開催し、コンテナ輸送の各部門から専門家や代表者を招き、改善点を議論したほか、改善点の特定を試みました。規制面については、多くの講演者が、積載能力が増大したコンテナ船に対し、消火活動や火災検知に関して適用される規制が追い付いていないことを指摘しました。Gardの見解ではSOLASの規制は、出火を防止し、人命を守るというSOLASの目的を今日のコンテナ船では達成していません。

 

こうしたGardの見解は、市場の発展に合わせた規制の見直しをIMOの海上安全委員会に提案している複数の旗国からも支持されているようです。GardはIUMI(国際海上保険連合)のメンバーとして今年2月にIMO(国際海事機関)に招かれ、保険会社の視点での見解を発表しています。

 

残念ながら、COVID-19のパンデミックにより、IMOの会議活動に影響が出ています。各種会議が延期され、ただでさえ時間を要する取り組みにさらなる遅れが生じることが予想されます。とはいえ、コンテナ輸送に関しては変革が急務です。私たちは、規制当局に対し、2021年以降も変革への重要な取り組みを進めるよう強く要請します。

 

業界の前向きな動き

海運業界は、コンテナ船火災に関する取り組みを継続しています。船主や造船会社は、防火性を強化するための設備の開発、改良を進めています。デッキに放水銃が増設されていたり、各コンテナ内の

 

消火活動が遠隔で行えるように開発されたポータブル機器などが設置された新造船を見かけるようになりました。

 

コンテナ船社は、誤申告された危険貨物が積み込まれないようにするために、ブッキング方法の改善に目を向けています。ブッキングプロセス時に貨物情報や当事者をチェックするための新しいツールの開発が行われています。

 

また、荷主側においても、安全輸送における貨物の申告・固縛に関する問題に真剣に対応する動きが見られます。その一例が、新たに設立されたCIG(Cargo Integrity Group)です。CIGは、貨物のサプライチェーン全体を通してCTUコードの適用の徹底を図るために設立された業界団体です。意識の向上や教育の強化も変革の推進に有効でしょう。

 

SOLAS規制の変更には何年もかかる可能性がある中で、こうした取り組みは非常に重要です。海運業界の誰も、2週間に1度の頻度で貨物関連のコンテナ船火災が発生しているという事実を看過できないはずです。今後も力を合わせて変革の可能性を高める取り組みを継続する必要があります。