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今年の船員の日に合わせて、Gardは国際海事機関(IMO)の考えに賛同し、船員を国際的キーワーカーに指定して船員交代を可能にするよう呼びかけています。船員の仕事は無くてはならないものであり、船員は敬意と尊厳をもって処遇されるべき存在です。船員の心と体を健やかに保つことは船舶の安全運航に欠かすことができないため、通常の雇用期間内に下船をして帰国できるようにする必要があります。 

こちらは、英文記事「Support key worker status for our seafarers」(2020年6月25日付)の和訳です。

 

船員交代以前と現在

以前は、マンニング会社から交代人員の名前と「下船」日を告げられるとすぐに帰国準備を始めたものでした。荷造りをし、下船までの残りの日々を指折り数え、大切な人たちのことをいつも想いながら早く家族との生活に戻りたいと願う。こういったことはどれも下船するまでの時間すべてをとても心躍るものにしてくれました。そのときの船員の期待の高さはとても大きいものです。乗船最後の日となるとまた状況は変わり、新しい服の準備、(免税店での買い物のための)キャッシング、書類上での実際の「下船」手続き、引き継ぎ記録の作成など、帰国に関することにくまなく考えを巡らせます。船で働くのが普通の生活から家で過ごすのが普通の生活へ。2つの「普通」は正反対ではありますが、この移行するときの気持ちが分かるのは船員だけでしょう。 

船員の下船が当たり前に行われていた頃はこのような光景が見られ、毎月20万人を超える船員が交代していました。ところが現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う水際対策によって、下船は非常に難しく、世界中の港湾国家の大半で船員交代がほぼ不可能な状態になっています。下船できなくなった船員たちは、当初の契約期間よりさらに何か月も長く乗船することを強いられ、苛立ちが募り、ストレスがたまり、疲弊しています。問題は船員交代だけではありません。COVID-19に伴う規制によって、完全に不可能というわけではないものの、船員は必要な治療を陸上で受けることも難しくなっているのです。この間、船会社・マンニング会社、現地代理店・P&Iコレスポンデント、業界団体・労働組合など多くの人々が、行政機関を通してどうにか打開策を見つけようと奔走してきました。

この数か月の間に発生している出来事によって、船員の治療と交代に関する業界のサプライチェーン全体の脆弱性があらわになっている一方、学んだ教訓もいくつかあります。裏方として働いてきている人々とこの船員の問題について話をすると、今回のパンデミックによって業界の主要関係者が共通の大きな目的のために一丸となった、ということが最もよく話題にのぼります。港を個別に見ると無事に交代が行われた事例もいくつかありますが、海運業界は世界規模であるため、解決策を統一させることが理想的です。 

 

今後の対策―船員はエッセンシャルワーカーであり、国際的キーワーカーとして指定してもらう必要がある

Gardは、国連の持続可能な海洋ビジネス・アクション・プラットフォームのメンバーとして、国連のCOVID-19タスクフォースへの参加を要請されました。本タスクフォースには、IMOや世界保健機構(WHO)などの国連機関、海運、オイル・ガス、港湾、食品、農業部門の業界代表者など約40の団体が参加し、 喫緊の課題の詳細やそれらの解決方法について全体で意見交換がなされました。Gardは、引き続きの乗船を余儀なくされ、緊急時でも治療を受けることができない船員たちを取り巻く困難を目の当たりにしていました。 

世界中に広がるサプライチェーンは世界的パンデミックの影響を受けていました。一部の国ではその時点ですでに船員をキーワーカーとして指定していましたが、個別の、つまり国ごとの対応ではグローバルサプライチェーンに影響を及ぼしている地球規模の問題に取り組むには不十分であることが分かりました。 その結果、世界的な取り組みが必要であるとの結論に至り、船員にキーワーカーとしての地位を一律に与えるようタスクフォースから勧告が出されました。

その勧告は、国連、すなわち国連総会議長を介してG7およびG20各国の首脳に伝えられました。この他にも多くの機関、および業界団体・労働組合が並行してこの問題に取り組み、同様の勧告を出したことによって、各国首脳による船員のキーワーカーへの一律指定の動きを業界全体で大きく後押しすることになりました。

今日はIMOが定めた「船員の日」です。船員は、パンデミックとの戦いに欠かすことのできない医療器具や医療用品など世界の物資を動かす最前線に立っており、IMOは今年がその船員の国際的キーワーカーとしての地位獲得を推し進める年になると注目しています。GardもIMOに倣い、船員たちを然るべき敬意と尊厳をもって処遇するようあらゆる人々に呼びかけています。今日だけでなく、毎日です。

 

執筆者について

Kunal Pathakは船長であり、オイルタンカーとばら積み船で12年間の航海経験があり、過去にはパンデミック時における船員のメンタルヘルス精神疾患に対する偏見を取り除く必要性に関する記事を執筆しています。Gardではロスプリベンションマネージャーを務めており、シンガポール事務所で勤務しています。

Tim Howseは船長兼機関士で、英国の事務弁護士でもあります。ばら積み船、タンカー、コンテナ船、クルーズ船で10年間の航海経験があります。Gardではインダストリーリエゾンを務めており、ロンドン事務所で勤務しています。