Rate this article:  

5月中旬、Gardのあるメンバーの船がマレーシアのケラン港から中国の厦門に向かっていたところ、積み上がったコンテナの上を動き回っている猿を乗組員が発見しました

その猿の目撃情報はGardに即座に報告されました。霊長類はコロナウイルスに感染しやすいため、厦門のGardコレスポンデントはCOVID-19の感染が発生しないように、猿を捕獲・隔離する必要があると助言しました。当初は、厦門のサファリパークの職員に乗船してもらい、猿を捕獲する計画でした。サファリパークの職員は侵入した猿の写真を確認し、その猿が中国で保護されている「ラングール」の一種であることを事前に突き止めていました。

税関から哺乳類を中国に輸入することは違法である旨の説明があり、猿の捕獲もままならないことから、次の手段として、ケージを本船に持ち込んで、次の寄港地である青島に到着するまでにスライスしたリンゴで猿をケージに誘い込んで捕獲する作戦を計画しました。

動きが素早い猿は捕獲が難しく、地元税関当局と協議を重ねた末、船舶の代理店が何とか青島当局を説得し、日中の停泊許可を得て、猿をケージに誘い込む作戦を続行しました。代理店が青島動物園に連絡を取り協力を要請したものの、COVID-19に対する不安から動物園の職員が乗船しての対応は実現しませんでした。この頃には、乗組員達は紛れ込んだ猿を「ブライアン」と呼ぶようになっていました。同船は、青島での捕獲作戦を終え、次の寄港地である韓国の釜山に向かいました。

釜山では、コレスポンデントが消防救急隊にブライアンの捕獲支援を依頼し、獣医師にも連絡を取っていましたが、ここでもCOVID-19に対する不安が、救急隊や獣医師による乗船対応が出来ないこととなりました。いずれにせよ、韓国当局は既にブライアンを韓国では下船させられないと決定していたため、ブライアンは本船と共に次の寄港地である上海に向かいました。上海に向かう途中、ブライアンは船の中を走り回ることよりも、リンゴにいつでもありつけることを選び、ようやくケージに入りました。その後のブラインの世話は乗組員が行うこととなりました。

 

 上海のコレスポンデントは、上海にある野生動物園と野生動物保護管理ステーションに連絡を取っており、ブライアンを新たな家に受け入れる準備は万全であるかのように見えました。しかし、税関がブライアンの乗船地であるマレーシアにはデング熱が風土病として存在するとして、ブライアンを船から降ろすことを拒否したのです。可哀想なブライアンはケージに入れられたまま船に留まらなければなりませんでした。次の寄港予定地は寧波でした。

寧波を出港後、船長は残された手段はブライアンをケラン港に連れ帰ることだけだと判断しました。そして、本船はシンガポールの寄港予定地に向かう航路を変更して、ブライアンの最初の乗船地であるケラン港に向かいました。ブライアンは1か月以上、南シナ海の海域を行き来したことになります。私が猿に関する報告を受けたのは今回が3度目です。こうした訪問者への対応は常に困難を伴いますが、パンデミック中は一層難しさが増します。