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ジョーンズ・アクト(1世紀前に制定された米国連邦法)は、「船員」としての地位を証明できる者に重要な救済策を提供するものです。Gardの人身傷害の専門家であるArt Gribbinが、Sanchez対Smart Fabricators of Texas事件において最近出された第5巡回区連邦控訴裁判所の判決について解説します。同判決は、オフショア業界において業務委託にジョーンズ・アクトが適用される要件をさらに明確化するものです。

こちらは、英文記事「The United States Fifth Circuit Court of Appeals clarifies Jones Act seaman status」(2020年5月6日付)の和訳です。

米国の海事法では、通常「ジョーンズ・アクト」と称される合衆国法典第46篇第30104条に基づいて「船員」の地位を主張する者には、他の労働者には与えられていない特別な権利が認められます。特に、船の航行中に負傷した船員は、その雇用主に対して過失という訴因を主張することができ、雇用主の過失が証明できた場合には、船員は損害賠償金を受けることができます。一方、船員の地位を主張することができない者は、通常、業務上の負傷に係る法定の労働者災害補償の給付しか受けられず、雇用主を訴えることはできません。

SanchezSmart Fabricators of Texas, LLC事件(952 F.3d 620、2020年3月11日第5巡回区)において、第5巡回区連邦控訴裁判所は、ジョーンズ・アクト上の船員の地位の判断に関するテストを再検討しました。同裁判所は、テストの2つ目の要素(人と船との関係が性質上実質的なものであるかどうか)の適用について、追加のガイダンスを示しました。  

原告は、Smart Fabricators of Texas, LLCのジャッキアップオフショア掘削リグで働いていた溶接工でした。Smart社は、鉄骨製作と設備修理の請負業者です。

原告は、複数あるリグのうちの1つの甲板に溶接されたパイプにつまずいて負傷し、後日、州裁判所において、ジョーンズ・アクトに基づく過失を主張してSmart社を提訴しました。Smart社は、テキサス州南部地区連邦地方裁判所に移送し、ジョーンズ・アクト上の船員としての原告の地位を争いました。

Chandris Latsis事件(515 U.S. 347 (1995))において、米国連邦最高裁判所は、ジョーンズ・アクト上の船員の地位を判断する次のような2要素テストを定めました。

  1. 当該人の職務が船の機能または使命に資するものであること。
  2. 当該人と航海中の船舶(または船団)との間に、「期間」と「性質」の両方の点から実質的な関係があること。

Smart社はテストの第1要素を認め、また、地方裁判所は、原告は67日の就労日のうち65日をリグ上で過ごしたという期間の点から、船団との間に実質的な関係があることをあっさり認めました。

Smart社が争ったのは、原告と船との関係の「性質(nature)」でした。Chandrisテストの2つ目の要素は、「ジョーンズ・アクトの保護を受けることができる海上での海事従業員と、航海中の船舶と一時的または散発的な関係のみを有する陸上作業員とを区別するため」のものです(Chandris, at 368)。したがって、「従業員と船舶との関係の性質の検討は、当該従業員の職務が海上で実施すべきものであるか否かに絞らなければならない」(Harbor Tug & Barge, 520 U.S. 548, 555 (1997))としています。

地方裁判所が判断し、第5巡回区裁判所が認めたように、原告の職務は、ジョーンズ・アクトが想定しているような、海上で実施すべきものではありませんでした。原告は、リグが海底にジャッキアップされ、リグ本体が海面から出ていて、波、潮その他の変動を受けない時に限り、リグ上で作業していました。原告の作業場所は安定していて、平たんで、海面より十分上にありました。そして、原告は、リグの操作または航行に関わる業務は行っていませんでした。原告は溶接工であり、甲板に溶接されたパイプにつまずいて負傷したのであって、これは、海固有の危険とは無関係の状況でした。ジョーンズ・アクトが想定しているような、原告が海上で作業したといえる唯一の期間は、原告が負傷したリグが曳航中であった4日間であり、その時ですら、原告は乗組員の一員としてではなく船客として扱われていました。

第5巡回区裁判所は、このように判示して、本事案と、NaquinElevating Boats, LLC事件(744 F.3d 927 (5th Cir. 2014))でのジョーンズ・アクト上の船員の地位に関する過去の判決との違いを明確にしました。その事件では、原告は、原告の雇用主が製造したリフトボートが造船所運河において停泊、入渠またはジャッキアップしている間にそのリフトボートに乗船して作業する修理監督者(repair supervisorでした。違いは、リフトボートは運河の外側に出ることはほとんどないものの、可航水路の「変動」の影響を受けると認められたことです。また、原告は実際、船のクレーンやジャッキアップレグの操作を含むリフトボートの操作に関係する業務を行っており、原告の負傷は、リフトボートの複数あるクレーンのうちの1つを操作しているときに発生しました。第5巡回区裁判所は、原告の業務は海上で実施すべきものではなかったという主張を却下するにあたり、陸上の近くで船の操作に関わる労働者は「やはり海上作業環境固有の危険にさらされている」とし、ジョーンズ・アクトの範囲に該当することを強調しました。

 

この事実から得られる教訓:ジョーンズ・アクト上の船員の地位に関する判断は、事実に大きく依拠する。