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曲がったシャフトの修理に船級協会から承認された冷間矯正法を採用すると、新しいシャフトに交換するよりも、時間・費用を節約できます。

こちらは、英文記事「'Cold straightening' of bent shafts may save time and money」(2020年3月10日付)の和訳です。

事故によって、プロペラシャフトやラダーストックなどのシャフトが、修理が非常に困難あるいは修復不可能な程の損傷を受ける場合があります。大径シャフトは曲がりやすいため、製造、加工、使用時に曲がりが発生することもあります。こうした曲がりは、シャフトの荒鍛造工程や最終寸法への機械加工工程で発生する可能性があります。激しい鍛造工程においてキー溝などを最終切削加工する際に曲がりが生じる場合もあります。また、一定期間の使用後や、プロペラが障害物にぶつかったりして、シャフトが曲がってしまうこともあります。

シャフトが修理可能かどうかについては、船主、製造元、修理業者、船級協会、保険会社の間で意見が分かれる場合があり、すべての関係者が取り得る修理方法について十分に検討する必要があります。Gardでは10年以上にわたり「冷間矯正」として知られる特別なシャフト修理法を扱ってきましたが、この方法は船主と保険会社に時間と費用の大幅な削減をもたらしてきました。 

 

「冷間矯正」法

冷間矯正法には50年以上の歴史があり、長い期間をかけて改良されてきました。最新の技術では、あらゆるサイズ(直径20mmから1,500mm以上、長さ25M以上)のシャフトを矯正することや、非常に狭い公差内にシャフトを矯正し、当初の製造された時よりも精度を大幅に高めることが可能です。冷間矯正装置は、基本的に、数値制御装置を搭載した油圧プレスと部品の寸法検査用のセンサーで構成されています。

 

 

曲がったプロペラシャフトの冷間矯正の前・後の写真

冷間矯正は、実際に物質から応力を解放するため、シャフトの金属的特性には影響を与えません。この点は、ホットスポット法などの他の矯正法とは異なります。ホットスポット法では熱を使用して物質に応力を加えるため、シャフトの金属的特性に影響を与えてしまいます。

 

冷間矯正法は、精度が高く、修理に要する時間も短いことから選好されています。最も一般的なシャフトであれば、24~48時間以内に交換にかかる費用の数分の1の費用で矯正することができます。

軸から1メートルずれるほど大きく曲がったプロペラシャフトと、その修理後の写真

 

冷間矯正法のメリットは以下のとおりとなります。

  • 主要船級協会によって完全承認されている。
  • 恒久的な修理と見なされる。
  • 修理した結果は新品のシャフトと同等である。
  • 修理期間が短く、費用対効果が高い。
  • シャフト素材の金属的特性が悪影響を受けない。

 

「冷間矯正」による修理の成功例
あるケースでは、船が座礁してプロペラシャフトが大きく曲がってしまい、当初、修理不可能と判断されました。しかし、新品への交換を決定する前にシャフトの修理の可否を検討するため、そのプロペラシャフトを冷間矯正専門業者に送ることに関係者は合意しました。

 

曲がったラダーストックの冷間矯正の前・後の写真

 

曲がったプロペラシャフト

当該船は、ノルウェー沖合で岩に衝突した際に、プロペラシャフトと舵に広範囲の損傷を受けてしまいました。プロペラシャフトは、船尾管から1メートル程飛び出た状態で引っかかり、半回転しかしなくなりました。船内に水が浸入したものの、岸壁まで無事に曳航されました。その後の調査で、プロペラシャフトが甚大な損傷を受けて大きく曲がってしまっていることが判明しました。新しいプロペラシャフトの製造には4カ月以上を要することが見込まれました。提案された冷間矯正では、新しいシャフトを手配するよりもコストと時間を大幅に抑えられることが判明しました。損傷したプロペラシャフトはデンマークの修理会社に輸送され、冷間矯正によって1週間で修理が行われました。その結果、中心線からのたわみは0.01mm以内に収まり、船級協会からは何ら勧告を付すことなく恒久的修理として完全承認されました。後にシャフト表面は1mm切削され、船級協会の要求の範囲内に仕上げられました。

 

この一件は、シャフトが大きく曲がった場合に冷間矯正などの代替の修理法を検討することの重要性を示しています。

 

本記事は、MarineShaft社(ヒァツハルス、デンマーク)からの情報に基づいて作成したものです。